富山大学人文学部案内2018
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14●卒業論文に採り上げられた研究テーマ例日本史実習の授業 刊本とともに複製本も利用して、史料を読み解くことを学びます。考古学の発掘調査実習 富山市杉谷古墳群を調査しています。調査を通して学習の理解を深めます。東洋史演習の授業 外国史料を直接読み解いています。西洋史演習の授業 分担を決めて、専門書の内容をまとめて発表し、質疑を通して理解を深めます。澤田 稔(さわだ みのる)教授教育研究分野/東洋史 職場では考古学の学芸員として、遺跡の調査を主に担当しています。専門的な知識や技術が求められる仕事ですが、実は入学時点でこの道に進むことを決めていた訳ではなく、考古学分野に所属したばかりの時は専門知識などほとんどない状態でした。そんな私が現在の職に就けたのは、富山大学が好きなことに打ち込む事の出来る場所だったからこそだと思います。 考古学分野では専門知識や調査に関わる技術などを学びました。知識をつけるための座学だけではなく、実際に土器に触れて観察したり、遺跡の発掘調査を行ったり等、実習がとても充実しています。そしてそれらの実践的な経験は今の仕事をする上で非常に役立っています。 専攻できる分野の幅広さは人文学部の魅力です。自分の専攻を決定するのは2学年に上がる時なので、1年次は自分の進む道についてしっかりと悩むことができますし、それぞれの分野について知るうちに思わぬ出会いがあるかもしれません。まだ自分のやりたい事や将来に関して迷っている人も、きっとこの学部で自分の目標を見つける事が出来るのではないでしょうか。 現代の文化や文明は、人類が誕生して今日にいたるまでの悠久の時間と広大な空間のなかで育まれてきたものです。過去の人間の営みの成果は私たちの生活のなかで生きています。 掘ってみないと地層の積み重なりが見えないように、現代社会の成り立ちについて時間をさかのぼって歴史的にさぐってみると、様々な文化の「地層が」見えてくるでしょう。その文化の地層には世界各地の独自な文化や人類共通の文明も混じっているでしょう。 歴史の研究は「現在と過去の対話」です。歴史の時代と地域に応じて遺物・遺跡や古文書・古典など数限りないほどの物質資料や文字史料があります。個々の問題関心に応じて必要な史資料を探し出し、その内容を読み取って問いかけます。それらは私たちがいだく疑問やテーマにどれだけ答えてくれるでしょうか。史資料の内容によって問い掛けを修正することも出てきます。あるいは、内容自体があらたな課題を喚起してくれることもあるでしょう。このように遺物・遺跡や古文書・古典など歴史の一次史料との「対話」が歴史研究の醍醐味です。今の仕事に大いに役立つ実践的な経験。歴史を学ぶことで、分析力、創造力、そして構想力を養おう。山場 愛弓(やまば あゆみ)さん福井市教育委員会文化財保護課 2014年卒業4312342■日本史■東洋史「日本古代の祥端と皇太子」「上杉謙信の上洛と領国支配の関係」「江戸町奉行所における吟味下(ぎんみさげ)」「条約勅許問題と孝明天皇」「北朝仏教教団と国家権力」「イェニチェリ反乱からみたオスマン帝国体制の矛盾」「太平軍の誕生と変質」「清末の女性解放運動」■西洋史■考古学「1~2世紀のローマ帝国における皇帝崇拝と属州」「中世後期イタリアの都市と商人」「近世フランスにおける救貧と都市統治」「ヒトラーとユダヤ人絶滅政策の決定過程」「縄文時代の貯蔵穴からみる食糧利用」「弥生時代の管玉製作における失敗品」「人物埴輪の所作についての考察」「越前文殊山城の築城目的・築城年代」富山大学 人文学部案内 2018Professor's Voice教員からのメッセージOB・OGVoice卒業生からのメッセージ

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