漢方薬に含まれていた免疫活性化ナノ粒子の発見(和漢医薬学総合研究所)

  • ※掲載内容は当時のものです。

漢方薬は生薬を熱水で煎じることにより作製されることが多く、これは製剤学的には、煎剤という剤型に分類されます。製剤学の原点は目で見ること。筆者は漢方薬研究で初めての独創的な試みとして、漢方薬(生薬煎じ液)を電子顕微鏡で観察した結果、各種生薬の煎じ液中に、ナノ粒子が多量に存在していることを発見しました。(図1)(文献1

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また、このナノ粒子は、多糖類で構成されていることが明らかとなっています。従って、植物を煎じると細胞壁の多糖を主成分とするナノ粒子が生成される普遍則があると考えられます。(図2)

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さらに、このナノ粒子は漢方薬(生薬煎じ液)の免疫活性化成分の一つであることが明らかとなっています(文献2)。(1)多糖で構成された(2)免疫を活性化する(3)ナノ粒子。この知見は、漢方研究に新たなヒントを与えてくれました。すなわち3条件を満たすものとして、細菌やウィルス粒子が挙げられます。

現在、我々は、以下の疑似細菌仮説を考えています。(図3)

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人は、漢方薬(生薬煎じ液)を飲むことで、その中に含まれるナノ粒子をバクテリア様の物質と認識することにより免疫が高まり、結果として、感染防御を行っているのではないか?この仮説を証明すべく、今後も研究を行っていきます。

<文献>
文献1. Iitsuka H, Koizumi K, et.al., Biochem Biophys Rep., 16:62-68, 2018
文献2. Iitsuka H, Koizumi K, et.al., Biomed Rep., 6:303-308, 2020

【メッセージ】
このように漢方薬研究は未知の可能性を秘めています。是非、和漢医薬学総合研究所に興味を持っていただければ嬉しいです。

教員名
小泉 桂一
専門
和漢医薬学、生物製剤学