医学薬学教育部博士課程4年楊志友、和漢医薬学総合研究所久保山友晴助教、東田千尋教授らのグループが、和漢薬の作用機序を明らかにする体系的な方法を確立し、アルツハイマー病改善に有効な薬物を見出

 医学薬学教育部博士課程4年楊志友、和漢医薬学総合研究所神経機能学分野の久保山友晴助教、東田千尋教授らのグループは、生薬の骨砕補エキスを経口投与すると、アルツハイマー病モデルマウスの脳内の、破綻した軸索が修復されることにより記憶が改善されることを見出し、その際、どのような化合物が脳内に移行して神経細胞を活性化するのか、そしてその化合物が神経細胞のどの分子に作用して軸索を伸展させるのかを明らかにしました。
 同グループの一連の研究によって、たくさんの化合物が混在している和漢薬であっても、どの化合物が最終的に標的臓器に移行するのか、そしてその化合物がどのような分子シグナリングを動員するのかを、体系的に明らかにすることができることが示されました。この手法は、和漢薬に限らず、薬物の体内動態や作用機序解明全般に適用可能であり、薬理研究の分野において画期的な成果です。また、ナリンゲニンやナリンゲニングルクロン酸抱合体が、CRMP2リン酸化抑制を介して軸索伸展・軸索修復作用をもたらし、アルツハイマー病の記憶障害を改善することが示されたことにより、新しい治療薬創成の可能性が期待されます。

 この研究成果は、6月19日付けの雑誌「Frontiers in Pharmacology」論文名:「A systematic strategy for discovering a therapeutic drug for Alzheimer’s disease and its target molecule」 に掲載されました。

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