富山大学理工学研究部の中村真人教授らの研究グループは、インクジェット式のバイオ3Dプリンターで、さまざまな細胞を含む、厚みのある3次元構造物を造形可能な技術を開発

 富山大学理工学研究部の中村真人教授、大阪大学大学院基礎工学研究科の境慎司教授らの研究グループは、世界で初めて、インクジェット式のバイオ3Dプリンターで、さまざまな細胞を含む、厚みのある3次元構造物を造形可能な技術を開発しました。
 再生医療分野にて、その有用性が広く認められているさまざまな材料に、西洋わさびに含まれる酵素を作用させ、瞬時に固まり、ゼリーのようなゲルを形成する性質を付与した複数のインクを開発しました。そして、細胞を分散させたこれらのインクを、この酵素反応で瞬時に固めながら、細胞を含んだゲルを1滴ずつ積み重ねることで、細胞の生存をほとんど損なうことなく、細胞を含んだ立体構造物を造形することに成功しました。また、細胞の増殖に適したインクを使用することで、実際に細胞が伸びて増殖することを明らかにしました。
 これにより、広く普及している複数の色のインクカートリッジを備えたインクジェットプリンターと同じように、複数のインクカートリッジに、それぞれ別の細胞とインクを充填して使用することで、組織や臓器のように、血管の周辺に別の細胞がいるような複雑な構造物の造形も可能となることが期待されます。
 この研究成果は、12月11日付けの科学誌「Macromolecular Rapid Communications」論文名:「Drop-on-drop Multimaterial 3D Bioprinting Realized by Peroxidase-mediated Cross-linking」のオンライン版に掲載されました。

プレスリリース [PDF, 404KB]