うつ病予防には仕事満足、うつ病からの回復には職場ストレスの管理が重要

富山大学医学部疫学・健康政策学講座 立瀬剛志助教らのグループは、働く人の抑うつ症状の発生と抑うつ症状の回復について一年間の追跡調査を行った結果、一年後の抑うつ症状の発生には仕事への不満足が、また一年後の抑うつ症状からの回復には仕事の裁量度や要求度と言った職務ストレスが強く影響していることを明らかにしました。

国は働き方改革で労働時間の削減を推奨してきていますが、今回の研究では仕事の量を示す労働時間は特に抑うつ症状との関連がみられず、むしろ仕事への満足感や職務ストレスといった労働の質が抑うつ症状との関連があることが示されました。

仕事による抑うつ症状の発生と回復に影響する要因は違っていることが分かったことで、職場でのストレス対策における「うつ予防」「うつ回復支援」それぞれの改善指標が明確になったと言えます。また、昨今の「ストレスチェック制度」にともなうストレス対策や「健康経営」におけるメンタルヘルス増進では、個人のみでなく職場単位での抑うつ対応が求められており、職場改善による抑うつの予防や抑うつからの回復は一年という短期間で可能であることを示す結果です。

 この研究成果は科学専門雑誌「Journal Of Occupational and Environmental Medicine」に2019年3月7日午後(米国時刻)に掲載されました。

プレスリリース [PDF, 315KB]