生活のゆとりがない家庭の児童は授業理解度が低い傾向がある

 富山大学大学院医学薬学研究部(医学)・疫学健康政策学の山田正明助教、関根道和教授らは、富山県内の児童2129人を対象とした研究から、授業理解度の低い児童について生活習慣、家庭環境の関係を分析し、新たな知見を得ました。
 授業理解度の低い児童は全体の18.0%(男子17.4%、女子18.6%)でした。有意な関連が見られた項目は、児童の生活では①起床時間が遅い、②学習時間が1時間未満(平日)、③メディア時間が2時間以上(平日)でした。家庭環境では④母親が喫煙する、⑤父親が喫煙する、⑥生活のゆとりがない、でした。中でも強い危険度(オッズ比)は児童の起床時間と勉強時間、両親の喫煙の項目でみられました。
 今回の研究から、ゆとりがない家庭の児童は、授業理解度が低い傾向が認められましたが、児童自身や両親の生活習慣が授業理解度と強い関連を示しており、これらの生活を変えることで、児童の授業理解度を高めることができるのではないかと思われます。経済格差が学力格差を介して健康格差などの問題を引き起こさぬよう、児童自身、家庭、社会全体での総合的な対策が求められます。

この研究成果は国際誌、Environmental Health and Preventive Medicine に掲載されました。

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