親の生活習慣がわるいと親の食育への関心が低く、栄養バランスを考えず、子の孤食も多い

 富山大学地域連携推進機構地域医療保健支援部門は、 富山県教育委員会との連携事業として実施された文部科学省スーパー食育スクール事業の追加調査をおこない、食育に関する新たな知見を得られました。

 今回の調査では、高岡市内の5つの小学校に通う1年生から6年生までの全児童2129名を対象として、平成28年1月に家庭の社会経済環境、親子の生活習慣などに関するアンケート調査を実施しました。回収数は1986名(回収率:93.3%)、有効回答数は1632名でした。医学部医学科6年生の天神久実さん、関根道和教授らが分析しました。

 その結果、①「生活のゆとりがない」と回答した家庭は、親が食育に関心なく、栄養バランスを考えない傾向にあり、子供が野菜を食べない傾向がありました。②Breslowの7つの生活習慣(注)で判断した父母の生活習慣がわるいと、親が食育に関心がなく、栄養バランスを考えない傾向にあり、子供の孤食も多い結果となりました。③子供のメディア利用時間が長いほど、子供は朝食を欠食し、野菜を食べず、間食をする傾向にありました。

 以上から、子供の食習慣には、①家庭の経済環境の影響を受けるもの、②親の生活習慣の影響を受けるもの、③子供自身の生活習慣の影響を受けるものがあると考えられ、今後の子供の望ましい生活習慣づくりに何が必要なのか、示唆を与える結果となりました。とくに、子供だけではなく親に対する健康教育が必要ではないかと考えています。

 調査結果の詳細は、6月1日に国際誌Journal of Epidemiologyに早期公開されました。子供の食習慣の健康への影響についての研究は多数ありますが、子供の望ましい食習慣の形成に注目した研究は少なく、貴重なデータと考えています。

プレスリリース [PDF, 340KB]