肌セラミド量を増加させる革新的な化粧品素材の開発に成功

 正常な肌表皮は、体内からの過度な水分蒸散の防止や、外界からの刺激の侵入を防ぐバリアとして重要な役割を担っています。現在、化粧品市場には肌のセラミドを補う目的で植物セラミドや合成セラミドなどの疑似セラミドを肌に塗布する化粧品が多く見られます。これらは一時的に肌のセラミドを補うことはできるものの、肌本来のセラミド産生機能を向上させるものではありません。そこで、化粧品業界では以前より疑似セラミドやセラミド原料を肌や経口から摂取するのではなく、肌のセラミド産生機能に働きかけることで、ヒト本来の健康な肌を実現させる「肌の内側から体内美容成分を増やす化粧品原料」が求められてきました。この度、富山大学附属病院薬剤部(加藤 敦 准教授)は、株式会社伏見製薬所(丸亀市)と公益財団法人かがわ産業支援財団と共に経済産業省の補助事業である戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)の採択を受け、セラミド合成酵素(CERS3)の亢進とセラミド分解酵素(CDase)阻害のデュアルアクションによって肌セラミド量を増加させる革新的な化粧品素材の開発に成功しました。また同企業より2019年4月から販売を開始しました。本成果を1月20日から幕張メッセで開催される「第10回 化粧品開発展(COSME Tech 2020)」内アカデミックフォーラムに出展し発表します。
 産官学連携の成果により生まれた独自の水溶性の天然由来化粧品素材です。今回販売を開始した化粧品素材は、保湿性に優れるとともに、表皮細胞の分化促進作用(肌ターンオーバー促進作用)も有することから今後、幅広い化粧品への配合が期待されます。

プレスリリース [PDF, 1.63MB]