慢性便秘症処方別の関連要因が明らかに

富山大学医師キャリアパス創造センター(第三内科)三原弘 助教と第三内科安田一朗 教授、疫学・健康政策学 山田正明 助教らのグループは、慢性便秘薬であるマグネシウム下剤は加齢と、刺激性下剤は女性、高血圧治療薬、低気温地域、運動不足とそれぞれ関連していることを明らかにしました。

慢性便秘症(注1)は全国民の5%が罹患し、高齢者で頻度が高く根本治療を含めた対策が必要となっています。現在まで、慢性便秘症は、女性で頻度が高く、年齢または低外気温、人種、社会経済、生活習慣などの危険因子が知られていましたが、本研究では全国データベース(NDB)を用い、便秘薬の種類別に関連因子を検討したところ、マグネシウム下剤(注2)は加齢と、刺激性下剤(注3)は女性、高血圧治療薬、低気温地域、運動不足とそれぞれ関連していることが判明しました。

未だ原因不明の便秘症の病態を解明したり、体温調整や積極的な運動が便秘症改善につながる患者集団を特定したりする際に重要な情報を提供することが期待されます。

本研究成果は8月24日、『ビーエムシー・ガストロエンテロロジー(BMC gastroenterology )』電子版に掲載されました。

用語説明

(注1)慢性便秘症
慢性便秘症診療ガイドライン2017において「便秘とは、本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義された。日本人の約5%が罹患しており、高齢化とともに社会問題となっている。
(注2)マグネシウム下剤
日本で最も広く使用されている浸透圧性下剤。近年、血中マグネシウム上昇の危険性が知られるようになっている。
(注3)刺激性下剤
センノサイド、ピコスルファートなどの大腸を刺激し、排便を誘発させる下剤の総称。長期連用で耐性化が問題となっている。

プレスリリース [PDF, 251KB]