富山大学で緊急時の人工呼吸器を開発

新型コロナウイルスの新規感染者のニュースが後を絶たない中、富山大学では、幾つかの試作を経てオリジナルの人工呼吸器が開発されました。

この人工呼吸器は、芸術文化学部の林暁教授が、世界中に新型コロナウイルスが蔓延する中、富山大学で何ができるかを考えた結果、MIT の情報をもとに緊急用の人工呼吸器の開発ができるのではないかとの思いを持ち、工学系の研究者に制御プログラムの開発を仰ぎ、これに応じた電気電子システム工学科の戸田英樹准教授が独自開発したプログラムを試作機に実装したものです。

林教授と戸田准教授は4月初め頃から協力して制作を開始し、周期や圧力、流量をコントロールできる機能を持ち、Peep圧を加えた通常の作動と同時に、患者の咳や自発呼吸などの変化に対応できるアシスト機能を持たせた3台の試作機を完成させました。5月には富山大学附属病院の呼吸器系の複数の専門家に評価を仰ぎ、一定の良好な評価を得ることができました。その後も、開発された制御プログラムを活かすべく、富山大学オリジナルと呼べる新たな装置の設計を行い、MITの装置とは全く構造の異なる、動作効率が良くコンパクトな試作機が完成し、9月1日に富山大学附属病院関係者等に公開しました。

当日は、林篤志附属病院長、北島研究担当理事、武山地域貢献担当理事、臨床研究管理センターの戸邉センター長や寺元教授、災害・救命センターの若杉副センター長、医療機器管理センターのスタッフ等が参加し、林教授や戸田准教授の説明を受けた後、実物を確認し、医療現場でも使用できるレベルのものとの評価を受けていました。

この人工呼吸器は、小型で安価に製造できるため、今後、企業との連携、認可を経由して、 医療現場に普及することが期待されています。

  • 富山大学オリジナルの人工呼吸器
  • 人工呼吸器の説明をする林教授(左)と戸田准教授(右)