富山大学発 放射線に関する情報発信 特別講演会を開催しました

 2015年1月20日(火)、富山大学五福キャンパス理学部2階多目的ホールにおいて、富山大学発 放射線に関する情報発信 特別講演会、「震災から4年を迎えて 福島の今・未来、放射線で診て、治す」を開催しました。県内はもとより県外からも聴講者が訪れ、一般市民の方々、大学教職員および学生を合わせ、120名以上の参加がありました。
 最初に、遠藤俊郎学長の開会挨拶(代読)と、世話人の富山大学水素同位体科学研究センター 鳥養祐二 准教授より本講演の開催趣旨等について簡単に説明がありました。

 続いて第1部「福島の今・未来」では、はじめに、公益財団法人環境科学技術研究所 植田真司 主任研究員が、「福島原発事故による放射能汚染の現状」と題して、福島原発事故発生から4年が経過した現在までの環境中における放射性物質の汚染分布や蓄積の状況について、身近な野菜や魚などを例に挙げ、わかりやすく講演しました。引き続き、福島工業高等専門学校(地域復興人材育成担当)佐藤 正知 特命教授が「福島県における除染と除染廃棄物等の管理に関する現状と課題」と題し、除染作業の困難な状況を説明し、中間貯蔵施設の建設と大量の廃棄物の輸送に関しての住民の理解が今後の課題であると講演しました。

 第2部「放射線で診て、治す」では、はじめに、富山大学大学院医学薬学研究部(医学)の野口 京 教授が、「放射線で診る-最新の画像診断」と題し、CTと磁気共鳴画像(MRI)の開発と歴史に始まり、実際の医療現場での用いられ方と最新の画像診断方法、および今後のそれぞれの開発の方向性について講演しました。続いて、九州大学大学院医学研究院 保健学部門 医用量子線科学分野 平田 秀紀 教授が、「放射線で治す-期待されるがんの放射線治療学」と題して、DNA損傷や病理組織学的な変化などの生物作用について解説し、放射線の持つガン細胞の殺傷効果を示すとともに、最先端の放射線治療について紹介しました。

 最後に、閉会の挨拶として、富山大学大学院医学薬学研究部(医学)近藤 隆 教授より本講演会の総括があり、本講演会の経緯説明、および大学として今一度、福島第一原子力発電所の事故の意味と、未来をどうするのか考える問題提起がありました。

 各講演後には活発な質疑応答が交わされ、また、終了後に回収したアンケートでは、「福島の現在の状況や除染作業の大変さがよくわかった」、「医療技術の進歩に感動した」、「継続的な開催を希望する」等の感想が寄せられ、講演会は盛会裏に終了しました。

 来る3月14日(土)には、「富山大学発 放射線に関する情報発信」の締め括りとして、東京大学 弥生講堂 一条ホールにて、東京大学、弘前大学、富山大学の三大学合同で震災から4年を迎えるにあたって シンポジウム『放射線と環境・食の安全』」を開催します。

  • 会場風景
  • 公益財団法人環境科学技術研究所<br>
植田 真司 主任研究公益財団法人環境科学技術研究所
    植田 真司 主任研究員
  • 福島工業高等専門学校(地域復興人材育成担当)佐藤 正知 特任教授福島工業高等専門学校(地域復興人材育成担当)
    佐藤 正知 特任教授
  • 富山大学大学院医学薬学研究部(医学) 野口 京 教授富山大学大学院医学薬学研究部(医学)
    野口 京 教授
  • 九州大学大学院医学研究院保健学部門 医用量子線科学分野 平田 秀紀 教授九州大学大学院医学研究院保健学部門
    医用量子線科学分野 平田 秀紀 教授