平成29年度入学式 式辞

式辞

 皆さん、富山大学へようこそ。式辞を申し上げます。

 富山の地でも桜の花が開花し、春の暖かさを感じる季節となりました。本日、平成29年度入学式において、学部入学生1,899名、大学院入学生414名、総勢2,313名の皆さんを富山大学にお迎えしました。入学生の皆さん、ご家族の皆様、ご入学おめでとうございます。期待と緊張が入り混じる、張り詰めた空気の中で、皆さんの輝かしい表情に出会えること、私ども大学人にとって、常に変わることのない、喜び、感激であります。富山大学を代表し、心よりお祝いを申し上げます。また、ご来賓や本学ゆかりの皆様方には、ご臨席を賜り、厚く御礼申し上げます。

 皆さんが生きる21世紀は、人類がこれまで経験したことのない、進歩、変革の時代です。科学・情報技術は、様々な分野で人間の能力を凌駕し、社会経済体制が様変わりするばかりではなく、人としての生き方や価値観までもが大きく変わろうとしています。人類には、人工頭脳など自身が作りだした自己を越える力を、如何に制御し、共存し、新たな世界を作り出すことができるかが問われています。
 社会においては、様々な側面で二面性が明らかとなり、その歪みは次第に大きくなっています。人間の外面的・物質的な面に関わる「文明」は急速な進歩を遂げてきましたが、一方で、宗教、哲学、歴史など人間の精神性が作り出す「文化」の存在、重要性について、ふれる機会は少なくなっています。日々の生き方では、均一性や同調性を是とする風潮が主流となり、多様性・寛容性といった個別の人間性を尊重しようとする視点は乏しくなっています。
   このように、現実の悲壮感は乏しいものの、厳しさや強い閉塞感があり、将来への不安感が拭えないのが現代の社会です。だからこそ、新しい感性を持ち、成長してきた皆さんにかかる社会の期待は、とても大きいものとなっています。

 このような時代を背負いながら、今皆さんは、富山大学生として、大学院生として、人生の新たなスタートラインに立っています。皆さんを迎える富山大学は、異なる歴史と伝統をもつ3大学が再編・統合し誕生した総合大学で、12年目の新学期を迎えます。旧3大学時代を含め、卒業・同窓生総勢は10万人に近く、県内外をはじめ世界各地で活躍しています。現在は8学部に1研究所及び附属病院を加えた10部局に、約1万名の学生・研究生が学んでいます。
 学部新入生の皆さん、これまでの家族・社会に守られながら学校教育を受けてきた『生徒』から、自ら学び、学業を修める『学生』へと脱皮、成長してください。大学院入学の諸君は、さらなる研鑽を重ね、発見・発明への扉を開き、自己成長を果たしてください。また皆さんは、既に選挙権を行使できる社会の一員であり、同時に、国家財政の支援を受ける国立大学の一学生です。社会に対する責務と感謝の念を忘れないでください。

 さて皆さんは、将来にどのような夢を描いておられるでしょうか。それぞれの専門の分野、職種において、社会に貢献し、人々に幸せをもたらす専門家、プロフェッショナルとして活躍することを目指していただきたいと思います。20世紀初頭の教育者、医師であるウイリアム・オスラーは、「専門職とは、ただの手仕事ではなく技術・技能であり、頭と心を等しく働かさねばならない天職である。」との言葉を残しています。皆さんが大学で学ぶ専門分野は、皆さんの天職になります。
 プロフェッショナルとして生きるため、学生時代に大切にしてほしいことを2点あげます。
 第一は、あなた自身の「知性」を磨いてほしいということです。
 「大学とは、知の探求を知の応用に拡げることを役割とする、人間育成の場である」と私は考えています。知識を教わるだけではなく、知性を育み、鍛える場です。知性とは物事を探り、考え、判断する能力であり、常に健全な批判精神を持ち、「なぜ」という思いで物事と向き合うことで鍛えらます。

 第二は、人を愛する気持ちを大切にしてほしいということです。
 人は一人で生きていくことはできません。人と互いに支え合う心、やさしさを大切にして下さい。ネットの世界ではなく、現実に目と目を合わせて語り合い、互いの心の動きを感じ合える、かけがえのない仲間を得てください。課外活動や社会経験における新たな出会いを探ってください。若さとコントロール可能な時間、それがもてる時こそが学生時代です。良き友、良き師に出会ってください。

 富山県は豊かな自然に恵まれ、固有の文化・産業が発展し、勉学・研究・生活の場として素晴らしい環境です。皆さんが充実した学生生活を送られるよう、教職員は全力で支援いたします。大学生活の4年間、6年間は、決して長い時間ではありません。1日1日が貴重な時間です。大学生活に悔いを残さぬよう、入学式のこの日からスタートダッシュし、全力で取り組んでください。
 みなさんの富山大学での学生生活が実り多いものとなることを祈念し、式辞といたします。

平成29年4月6日
富山大学長 遠藤 俊郎