ダイヤの原石みーつけた! マニア富大生発掘リレー

 この企画は、学業、サークル、趣味などで、夢に向かって頑張っている富山大学生をリレー形式で紹介するものです。聞き手は、本学広報担当スタッフ(山下)です。


動物マニアの伊藤隼さん
富山大学理学部生物学科4年
動物が好きすぎて海外に行き、プロダイバーになったりアフリカを縦断したり。一種類でも絶滅危惧種を来世に残したいという夢を持つ。
岐阜県出身。

 今回紹介する学生は、前回ご登場頂いた中西祐樹さんから「動物マニア」と称される伊藤隼さん。5月下旬、五福キャンパスにてインタビューを行いました。

野性動物が好きすぎて、単身海外へ

山下
本日はよろしくお願いします。まず最初に、伊藤さんが今大学でどんな研究をしているか、教えてください。
伊藤さん
僕は、富山県のアライグマの個体数を調査しています。外来種であるアライグマが増えすぎると、希少種であるサンショウウオやカエルを食べてしまって、元の生態系が崩れてしまうんですね。それなので、個体数を把握して、駆除に繋げていくための初期段階の研究をしています。
元々僕は、サンショウウオが好きだったんですよ。ホクリクサンショウウオという、すごく貴重な動物が富山にいるのですが、アライグマが富山県でさらに増えると、このホクリクサンショウウオが絶滅する可能性があると言われているんです。だからサンショウウオを守るために、研究を(アライグマに)シフトしたって感じですね。
ただ、こう言うとアライグマが悪いと勘違いされやすいですが、アライグマは何も悪くないですからね。一番悪いのは、無責任に輸入して野に放した人間なんですよ。
山下
そうだったんですね…。伊藤さんは動物が好きすぎて、海外を旅したり、アフリカを縦断したりしたと聞きました。行動を起こすきっかけは何だったのですか?
伊藤さん
きっかけは、大学に入ってもう一回野生動物を見たいなと思ったことですね。まず大学2年生の頃に、一人でインドにベンガルトラとインドライオンを見に行きました。
現地で人を雇いつつ、1か月半かけてベンガルトラとインドライオンを探しに行ったんですよ。でもその間僕まったくのノープランで、結果的に見れなくて。街に戻って、悔しくて、動物園で見て帰ってきました。(笑)
ちなみに、その動物園の入園料が日本円で約20円で、「こんな安く見れたのか…」と。そのとき、「野生動物って一筋縄じゃいかねぇんだなぁ」って、そこからもうちょっと計画性持って行こうと思いました。
山下
(笑)
伊藤さん
インドにいたときもう既に、次に行く国を考えていました。世界中のNPO(非営利団体)やNGO(非政府組織)に英語でメールして、「世界中の動物を見たいのですが、何か僕に情報をくれませんか?」と30通ほど送ったら、3通返ってきたんですね。その手紙で教えて頂いた、マレーシアのボルネオ保全トラストに行きました。ここでは森林が破壊されて住処を失った野生のオランウータンが保護されています。
マレーシアで、僕は初めてパームの木でできた林を見たのですが、これが…気持ち悪かったですね。元々熱帯雨林があった場所に、等間隔にパームの木が並んでいて、すごく人工的で。この経験をきっかけに、人間と野生動物の関係にも目を向けるようになりました。
山下
そうだったんですね。アフリカ縦断はマレーシアの後に行かれたのですか?
伊藤さん
はい。マレーシアから帰ってきて、次は何を見ようって思ったんですね。その頃、人間と野生動物の関係にすごく興味があったので、「やっぱり野生動物の王国といったらアフリカだろう」と思い、アフリカ行こう!って決めました。
山下
アフリカで死ぬかと思った話はありますか?
伊藤さん
ありますよ!ザンビアに行ったとき、国立公園(サバンナ)の中にあるテントで寝泊りをしていて。フランス人のロドリゲスと一緒に寝ていたのですが、ガサガサって聞こえるので、目が覚めたんですよ。そしたら僕らが寝泊りしているテントに、3つゾウのシルエットが写ってて、「わぁ!こわ!!」って思って。
そのとき思い出したんです。寝泊りする前にテントでの過ごし方のレクチャーを受けたのですが、「絶対に、みかんやりんごは冷蔵庫に入れろ。食べ物は密閉されたものの中に入れろ。」と言われたことを。
僕寝る前にリンゴを食べて、ポイってそこらへんに捨てて寝てたんですよ。全然密封空間じゃないし、一番かぐわしいタイミングでゾウが来ちゃったんですよね。「うわ!これだ原因!」って思って、僕しずか~にリンゴとバナナの皮をかばんに入れて…。
そのとき思い出したのが、「先月、村人が3人殺されたから、ゾウには気を付けろ」って。(笑)「これやばいわー!」って思って、ロドリゲスを起こそうと思ったんですけど、全然起きないんですよ。でもロドリゲスもビビリなんで、起こしたら発狂するかもしれないんですよ。なので起こさずに、一時間恐怖の中で耐えました。翌朝、ゾウはいなくなっていて、助かりましたね。
山下
すごい経験をされましたね!アフリカで心に残っている動物はなんですか?
伊藤さん
いっぱいいるんですけど、エチオピアンオオカミに会えたのはすごく感動しましたね。
山下
エチオピアンオオカミ?
伊藤さん
はい。エチオピアの標高4,300mのところに住んでいるオオカミです。彼らを見るために、1週間人間を雇って、毎日山に登っていました。
普通4,300mの地で走ると、当然息も切れるじゃないですか。でも彼らはめちゃくちゃ速いんですよ。そして彼らの去り際がまたよくて。4,300mって雲につつまれてるじゃないですか。去り際、雲の中にふわーって隠れて行ったのが、「すげーかっこいい…」って思いましたね。

山下
へぇー!幻想的!
伊藤さん
あとアフリカで一番感動したことなのですが、僕アフリカに入ってまず、南アフリカでバイクをレンタルしたんですね。バイクをレンタルして、結果的に崖に落ちたんですけど。
山下
えっ!?
伊藤さん
そのとき黒人2人に担ぎ上げられて、助けてもらって今、命があるんです。生きながらえたからこそどうしても喜望峰に行きたいって思って、ミラーがなくなったバイクで喜望峰に向かったんです。そしたら道路の横から、野生のダチョウが(道路に)飛び出してきたんですよ。時速60km出しても、全然追いつけないんです。もう動物ってなんでもアリだなぁって。そういうところが動物の魅力ですよね。
山下
伊藤さん、スゴイ…。

人生のコンセプトは、生きている動物を一種でも来世に残すこと

山下
伊藤さんの将来の夢はありますか?
伊藤さん
僕の人生のコンセプトとしては、生きてる動物、絶滅危惧種を一種でも来世に残したいだけなんですね。一種といえども、いろんな生き物の生存に関わっているんですよ。例えば、なにか生き物がいて、その生き物のフンだけを食べる生き物がいるんですね。つまり一種の絶滅危惧種を守ることって、いろんな寄生虫や生き物を守ることに繋がってくると思うんですね。
僕は幼いころ、近所の川にいるメダカと遊ぶことで、心が楽になったんです。なにか一種でも生き物がいて、それがいつか人間のためになること、絶対あると思うんですよね。だから、一種でも来世に残したいなって思っています。
山下
いいですね!最後に、在学生のみなさんに伝えたいことはありますか?
伊藤さん
大学期間ってすごく貴重なものですよね。僕のいいところは、やりたいことを何一つ我慢しなかったところ。休学したいと思ったら迷わず休学しますし。本当に自分のやりたいこと、思ったことを大切にしてほしいなって思いますね。初動が一番難しい。休学の勧めをしているわけじゃないですけど、休学するにも留学するにも、何かやりたいと思ったとき、固定概念に縛られることって多いと思うんです。でも僕は、他人の意見なんて全然気にしなくていいって思いますね。
最近ふと腑に落ちたことは、移動の距離が発想の大きさに比例するということ。日本にいるから、日本の感覚に縛られ続けて考えられないことってすごく多いと思うんですよ。例えば僕、日本にずっといてアフリカ行こうとは思わなかったですし。
山下
いろんな国に行ったから、アフリカに行こうと思った?
伊藤さん
そうですね。(在学中にしたらいいと思うことは)大学を出てみることかな。(笑)もちろん国内でもいいですし、何も我慢しないこと、ですかね。だって死んだらなにもできないじゃないですか。
僕インドで死にそうになったとき、「うわ、マレーシア行っときゃよかった」って少し思って。それからもっと気楽にいこうぜって思ったんです。どうせ死ぬんだから、自己満足で終わればいいんじゃないかなって僕は思ってます。
山下
そうなんですね。
伊藤さん
あと僕、海外に行きたいっていう学生に対して、いろんな支援をしています。たぶん旅経験は富大一だと思うので、僕にできることがあるなら本当なんでも聞いてください。
以前工学部の子で、「何か現状を変えたい」という意見を言ってきた子がいて、カンボジアの孤児院に行くのを提案しました。
その子、カンボジアに行って、孤児院一個だけ周る約束だったんですけど、自分が行ける孤児院を十数か所周ってきたんですよ。それで、残ったお金を全部孤児院に置いてきたんですよ。帰国してから、「僕、子どものおもちゃを作ります。」って言ってて、すごい変わってませんその子?何もやりたいことがないっていう状態から、孤児院行ってめちゃくちゃ自信つけて、子どものために何かしたいって。これ、すごいっすよね。僕そういう学生って必ず、誰でもなれると思うんです。そういう面白い学生が増えるアシストをしたいなって思うんです。
僕は今、教育の分野も目指しているのですが、工学部の彼のような経験を高校生や学生の切羽詰まった状態でしておくことで、吸収力が全然違うと思うんですよ。だから学生のうちにやっておいた方がいい。僕はなんでもサポートできますし、やろうと思ったらなんでもできます。できないことはないので、頑張れ!

伊藤さん、ありがとうございました。
次回紹介する学生は、小児科マニアの伊藤綾華さん(医学部6年)です。
お楽しみに!