富山大学案内2016
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24和漢医薬学総合研究所INSTITUTE OFNATURALMEDICINE 和漢医薬学総合研究所の前身は51年前、1963年4月に富山大学薬学部内に設置された和漢薬研究施設にさかのぼることができます。その後、1974年には附置研究所に昇格し、資源開発、生物試験、臨床利用、病態生化学、化学応用の5部門で和漢薬研究所としてスタートしました。1978年に研究所は富山医科薬科大学に移管されました。研究所の設置目的は「和漢薬に関する学理及びその応用研究」であり、薬の富山の伝統を生かしたユニークな研究所として世界的にも高く評価されています。 和漢薬とは、我が国と中国の伝統医療で用いられる薬物(和薬と漢薬)を指しますが、本研究所では、和漢薬のみならず世界の伝統医学に用いられる薬物も積極的に研究しています。これら薬物は世界的コレクションとして民族薬物資料館に展示され、教育や研究に利用されています。 2005年10月には富山大学、富山医科薬科大学、高岡短期大学の県内国立3大学が統合され、新・富山大学の中で「和漢医薬学総合研究所」として再出発することになり、現在では、資源開発部門(生薬資源科学分野、天然物化学分野)、病態制御部門(複合薬物薬理学分野、病態生化学分野、消化管生理学分野、神経機能学分野、栄養代謝学分野)、臨床科学部門(漢方診断学分野)の3大部門の他に1寄附部門(和漢薬製剤開発分野)、及び民族薬物研究センター(国際共同研究分野、民族薬物資料館)から構成されています。さらに2010年、文部科学省より共同利用・共同研究拠点に認定され、拠点事業推進室が設置されています。また、2005年に北京大学医学部薬学院、2006年に南京中医薬大学、2010年にチュラロンコン大学薬学部、及び2011年にカイロ大学薬学部との間の国際協力拠点が民族薬物研究センター内の資料館の3Fに設置されています。 本研究所は、1)文部科学省21世紀COEプログラム「東洋の知に立脚した個の医療の創成」、2)学術振興会拠点大学方式によるタイとの学術交流事業、3)文部科学省知的クラスター創成事業「とやま医薬バイオクラスター」、4)文部科学省産業クラスター連携プロジェクト、5)北京大学、南京中医薬大学、カイロ大学、力リフォル二ア大学デービス校との国際共同研究拠点の形成事業(COE支援)、6)経済産業省の中小企業地域新生コンソーシアム研究開発事業などのプロジェクトに積極的に参画して、研究推進、人材育成、学術交流を行ってきました。 教育面では、医学薬学教育部(薬学領域)の大学院生の教育研究に協力するとともに多くの外国人留学生や外国人客員研究員を受け入れています。毎年開催している夏期セミナーや特別セミナーは、様々な魅力ある企画がなされ、好評であります。 研究所はまさに医療文化、医療経済などの学問分野を取り入れた伝統医学に関する総合的な研究機関として発展てきており、さらなる上を目指しております。 「共同利用共同研究拠点」は、全国の関連研究者が共同で利用することにより、我が国の学術の発展に特に資する施設を、文部科学大臣が拠点として認定し、国全体の学術の発展を図ることを目的として行っている事業です。本研究所は、和漢医薬学に特化した国内唯一の研究機関として全国の和漢医薬学研究の中心となる拠点として認定され、2010年より活発に活動しています。本拠点を通して国内外の関連研究者及び研究者コミュニティと緊密に連携し、和漢薬研究の発展に寄与したいと考えています。 生薬標本27,000点、植物標本33,000点を所蔵している附属民族薬物資料館は、平成22年に増改築され、共同研究拠点としての環境を整備しております。これらの和漢薬資料を共同研究に供することにより、和漢薬の科学基盤を形成するとともに、全人医療に向けた新しい医療体系の構築をめざしています。腹診最新技術を導入したタンパク質解析民族薬物資料館共同利用・共同研究拠点「和漢薬の科学基盤形成拠点」として

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