16UNIVERSITY OF TOYAMA1 2020年7月~8月に「2021年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動等に関するアンケート調査」を実施し、311団体から回答(回答率約25%)を得た。2 回答があった団体のうち、加盟企業等へ要請事項を「周知した」とする団体は約72%であった。「今後周知する予定」とする団体と合わせると、約82%が周知済み又は周知予定であった。3 回答があった団体のうち、就職・採用活動日程の「ルールは必要であり、現在の開始時期がよい」とする団体は約60%であった。4 2020年7月~8月に「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査」を実施し、7,322名から回答を得た。5 2020年10月に「2020年度就職・採用活動に関する調査(大学等)」を実施し、886大学等から回答を得た。6 2020年10月に「2020年度就職・採用活動に関する調査(企業)」を実施し、274社から回答を得た。7 学生向け調査においては、企業説明会やセミナー等に参加したピークの時期を月別にみると、3月との回答が約32%と最多であるが、2016年度以降を経年比較すると、2月以前がピークとの累積割合が約52%と過去最多になっており、早期化の傾向がみられた。3.基本的考え方(1) 2020年度卒業・修了予定者の就職・採用活動については、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前においては、企業説明会や採用面接等の時期が更に早期化しており、就職・採用活動日程のルールの遵守に課題が認められる。このため、当該ルールの有効性の向上やルール自体の在り方について、改めて検討が必要である。 一方で、こうした状況は、景気回復が続いてきた中で、企業の採用意欲の高まりを受け、就職・採用活動の早期化が進行した一時的な動きとも考えられる。このため、今後の経済情勢と企業の採用活動の関係を十分見極める必要がある。(2) 経済団体等向け調査及び学生・大学等・企業向け調査においては、就職・採用活動日程のルールが必要であり、現在の日程でよいとの回答が最多であり、就職・採用活動に一定の役割を果たしているものと考えられる。(3) また、「新卒一括採用」を中心とした我が国の採用活動の在り方については、我が国の雇用の在り方全体に係る中長期的な課題である。経団連と大学関係団体の代表者により構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」(以下「産学協議会」という。)が本年3月に公表した「Society5.0に向けた大学教育と採用に関する考え方」においては、「新卒一括採用(メンバーシップ型採用)に加え、ジョブ型雇用を念頭に置いた採用(ジョブ型採用)も含め、学生個人の意志を尊重した複線的で多様な採用形態に秩序をもって移行することが必要」とされている。 政府が本年7月に閣議決定した「成長戦略フォローアップ」においては、学生の学修環境の確保を前提に、産学協議会の提言及びその進捗や長期インターンシップの効果に係る調査結果等を踏まえ、今後の時代にふさわしい学生と企業の就職・採用活動の在り方について、「インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方」の見直しも含め、着実に対応の方向性を検討するとしている。 他方で、就職・採用活動に関するルールが急激に変更されることに対しては、大学側や中小企業等から、学生の混乱を生じさせるおそれがあること、就職活動の早期化・長期化が進み学生の学修時間が確保されないこと、中小企業の採用選考活動の負担が増大すること等への懸念が示されているところである。また、企業における新卒一括採用を基本とした雇用慣行の見直しには一定の時間を要するとみられる。さらに、新卒一括採用は、我が国の若年失業率が、他のOECD諸国と比較して低いことに寄与していると考えられる。(4) あわせて、本年3月以降、新型コロナウイルス感染症の影響により、多数の学生が集まる企業説明会等の延期・中止や一部の企業による採用選考活動の取りやめなど学生の就職活動への影響が生じているところであり、今後の感染症の状況を踏まえ、学生が安心して就職活動に取り組める環境を整えていく必要もある。不安が大きかった」との指摘もあり、感染症の状況を踏まえた就職・採用活動の在り方についての課題もみられた。 さらに、インターンシップの効果については、学生向け調査において、「仕事の内容を具体的に知ることができた」等のよい影響が確認され、特に2日間以上のインターンシップにおいて、その傾向がみられた12。
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