139 学生向け調査において、企業説明会やセミナー等に参加したピークの時期を月別にみると、3月との回答が約36%と最多である一方、2月以前との回答の累積割合は約46%で昨年より約5%ポイント減少しており、早期化の傾向に一定の抑制がみられた。10 学生向け調査においては、採用面接を受けたピークの時期を月別にみると、3月以前の割合が上昇した。また、2017年度以降を経年比較すると、3月以前がピークとの累積割合が約31%と過去最多になっており、採用面接に限ってみれば早期化する傾向がみられた。さらに、最後に面接を受けた時期が7月との回答が約15%と低下しており、学生の採用選考活動が昨年度よりも短期化した傾向がみられた。11 学生向け調査は、就活ルールへの考えに対する質問に回答のあった5,449人の学生が対象。その他の選択肢は、「ルールは必要だが、現在の開始時期より早い方がよい」(24.7%)、「ルールは必要だが、現在の開始時期より遅い方がよい」(9.2%)、ルールは必要ない(27.4%)、その他(4.6%)だった。12 大学等向け調査は、有効回答978大学等が対象。その他の選択肢は、「どちらともいえない」(22.5%)、「広報活動は自由に開始した方がよい」(9.8%)、「開始時期を変更した方がよい」(5.3%)、「採用選考は自由に開始した方がよい」(4.4%)、「開始時期の設定は必要ない」(3.7%)。13 企業向け調査は、有効回答622社が対象。「就職・採用活動の日程について、何らかのルールは必要だと思いますか」との問いへのその他の回答は、「不要」(14.6%)、「わからない」(28.8%)、「未回答」(0.6%)。また、その中で「現在の就職・採用活動の日程に賛成ですか」との問いへのその他の回答は「不要」(40.5%)。14 学生向け調査においては、企業が「インターンシップ」や「ワンデー仕事体験」等と称して実施したプログラムをすべて含めて回答を求めた。15 学生向け調査においては、インターンシップの効果として「仕事の内容を具体的に知ることができた」との項目に対する「そう思う」との回答は、「半日又は1日間以下」と「2日間以上」でそれぞれ約33%と約60%、「会社の雰囲気を理解することができた」ではそれぞれ約27%と約53%、「自分の将来設計(キャリアプラン)を考えるのに役だった」ではそれぞれ約17%と約36%であった。16 学生向け調査においては、インターンシップに参加した最長の日数として、1日又は半日と回答した学生は約47%であり、全てのインターンシップの参加回数を累計したところ、1日又は半日と回答した割合は全体の83%を占めた。17 「インターンシップの推進に当っての基本的考え方」(文部科学省、厚生労働省、経済産業省による合意)においては、インターンシップについて「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義している。18 実質的な選考を行う活動とは、インターンシップの参加が採用面接等を受けるための必須条件になっているもの、インターンシップ終了後に参加者を対象とした採用説明会・採用面接・試験の案内があったもの、インターンシップの結果が内々定の獲得に影響するものが含まれる。19 一例として、博士課程の学生を対象としたジョブ型採用の適用を見据え、本年度から、文部科学省と経団連が「ジョブ型研究インターンシップ」の試行的実施に取り組んでいる。 就職・採用活動の時期については、学生向け調査において、企業説明会等が、昨年度と比べて、参加のピークを2月と回答した者の割合が低下し、早期化が抑制されている動きがみられた9。また、最初の採用面接を受けた時期については、昨年度と同様との回答が多くあった一方、面接を受けたピークが3月とする回答割合はやや上昇し、若干早期化が進展する動きがみられた10。これらのことから、就職・採用活動全体では、引き続きルールよりも早期に就職・採用活動を行う例が一定数あるものの、昨年と比べて更なる早期化の進行はみられない。 就職・採用活動日程について、学生、大学等、企業向けそれぞれの調査を行った。学生向け調査では、「ルールは必要であり、現在の開始時期が良い」との回答割合が最 も高かった(34.1%)11。大学等向け調査では、「現在の開始時期で良い」との回答割合が最も高かった(52.1%)12。企業向け調査では「就職・採用活動の日程について、何らかのルールは必要だと思いますか」との問いに「必要」とする回答が最も高く(55.9%)、そのうち「現在の就職・採用活動の日程に賛成ですか」との問いに「賛成」とする回答が最も高かった(59.5%)13。 現在の日程の評価について、学生向け調査では、新型コロナウイルス感染症の影響下でも、「先輩の体験など昨年の就職活動の情報を参考にすることができた」(53.5%)、「どの時期にどのような就職活動をするか予定を立てやすく準備・行動ができた」(52.6%)など、プラス面の効果がみられた。他方、「面接などの選考活動を早期に開始する企業があり混乱した」(60.0%)との指摘もみられた。(3) また、学生向け調査では、近年学生の積極的な参加がみられるインターンシップ14について、その詳細を把握するため、重点的に取り上げた。それによれば、約7割の学生がインターンシップに参加しており、学生に広く浸透していることが確認された。その効果については、「仕事の内容を具体的に知ることができた」、「会社の雰囲気を理解することができた」等の良い影響が確認され、特に、半日又は1日以下の短期で実施しているものよりも、2日間以上の長期のものにおいて、その傾向が顕著にみられた15。他方、その実施期間・内容をみると、その多くは半日又は1日以下のものであり、その割合は年々高まっている16。特に半日又は1日以下で実施されているもののうち、約7割が就業体験を伴わないものであり、本来「インターンシップ」と称するには相応しくないと考えられるものが実施されていることが確認された17。 インターンシップと実質的な採用選考との関係については、約3割のインターンシップに実質的な選考を行う活動18が含まれていたほか、インターンシップ参加後に、約6割の学生が広報活動開始前の採用説明会の案内を、約4割の学生が採用選考活動開始前の面接等の案内を受けており、インターンシップを一つの契機として、ルールで定められた期間外で就職・採用活動が行われている場合が一定程度あると考えられる。 また、経団連と大学関係団体等の代表者により構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」(以下「産学協議会」という。)は、本年4月に「ポスト・コロナを見据えた新たな大学教育と産学連携の推進」を公表し、その中で、産学連携による学生のキャリア形成支援の充実に向け、新たなインターンシップの定義や、インターンシップを含む学生のキャリア形成支援活動の類型化を行い、今後更に議論を進めるとしている19。
元のページ ../index.html#14