富山大学経済学部案内2021
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■学科概要経営法学科Business Law企業経営と法律法律職公共政策ファイナンス経営法学科長 香川 崇 現代は、立法によってより良い社会を築く時代です。経済活動を活発にしたり(規制緩和や公共事業の法政策)、企業経営を安定させたり(減税や法令遵守の法政策)、取引を公平・円滑にしたりします(契約保護や独占禁止の法政策)。日常生活でも、人権を守り、消費者・労働者を保護し、犯罪を防ぎます。一方で、経済発展や社会情勢の変化に対応して法も社会化していきます。商品の偽装表示や企業技術の流出、交流サイトやインターネット上のトラブルなど、未対応の問題が持ち上がってくるからです。  適切で迅速な被害救済をするためにも、立法や訴訟の必要性が高まっていますが、学生の皆さんも将来、社会人としてそのような問題に対処できる能力を身につけることが重要です。このため、経営法学科では、経済・経営・法律が相互に密接に関連している社会の仕組みを理解した上で、法の知識を総動員して、問題解決の道筋を導き出す法的思考力の涵養を目指しています。  法的思考力というと、なんだか難しいように思うかもしれません。ですが、要はいかにルールを守り、社会を安定させるかということにつきます。最近は、身近なところでも、製品の検査データの改ざんとか、完成車両の不正検査、顧客情報の流出、企業の不正会計処理など、ルール違反が目立ちます。こうしたことに対して、「これはいけない」とか「何かおかしい」といった感覚を身につけることが、重要な第一歩になるのです。Message 経営法学科では、法学部と同等のカリキュラムにより公法系・民事法系・企業関係法系の諸科目を体系的に学ぶことができます。法律・法制度等についての深い理解と法的思考力を培えるよう準備するとともに、経済・経営の専門的知識の習得もできるように工夫しています。●コース制についてはP.8へ 法律・政治に関する知識と経済・経営の知識とを併せ持ったバランス感覚で、社会人・職業人として地域貢献し、国際的場面でも活躍することを目指すのが経営法学科です。また、公務員に就く比率が最も高いのが経営法学科の卒業生です。このため、法律職あるいは公務員試験に関する科目(憲法、行政法、民法、会社法、刑法等)を開講するとともに、海外と取引する企業や金融機関への就職を希望する方には、法律に通じたビジネスパーソンとして必要な知識を身につけるために、国際取引法、金融取引法などの実践的な講義等を用意しています。 社会では、近年の規制緩和で自由競争が促進されましたが、一方で、違反や紛争が増し、以前にも増して法の役割が重視されています。「法化現象」と呼ばれます。日常生活で、法的思考力をもって消費者被害を避けたり、説得や交渉等を通じてトラブルを未然に防ぎ、仮に紛争に発展した場合であっても解決への道筋を導き出す能力が求められます。また、これまで想定していなかったような紛争に遭遇しても、幅広い専門知識に裏づけされた柔軟な思考力や洞察力をもって解決法を模索することが重要です。 これらの汎用性のある能力を育てるのが経営法学科の学術性と実践性を兼ね備えた教育といえます。 とくに専門教育では、公法系、民事法系および企業関係法系の諸科目を幅広く体系的に習得して、法律や国の仕組み等についての理解と法的思考力を培っていきます。【1】まず、憲法、民法・商法および刑法などの六法科目を中心に履修して、法律学の基本的な概念や考え方を習得します。【2】次に、行政法、労働法および経済法などの科目を履修して、社会人・職業人として必須の知識を習得します。【3】さらに、国際取引法および金融取引法のような、実践的な応用科目を履修します。  これらの応用科目は、原則として実務家出身の教員が担当しており、実務を踏まえた実践的な内容が講義されるため、将来、地域や国際的な場面で活躍するに当たっての示唆が大いに得られるのです。Department学科紹介07

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