富山大学人間発達科学部案内2020
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教育心理コース発達教育学科コースの特徴 心理学の様々な領域を科学的に研究し、実践に活かす研究と教育を行います。人を対象とした実践に活かすには、人の学習や知覚・認知や感情の仕組み、対人関係や学習の基盤となる認知発達の機序を正しく理解する必要があります。本コースでは、人の心の仕組みに関する基礎的な知識、実験や調査などの科学的な心理学研究の訓練を基盤としながら、それらを教育や臨床などに活かしていきます。そのことで、心理学的な知見を備えた教師として学校現場で活躍できる人を養成しています。また、心理の専門家として、公務員の心理職や児童相談所にて、相談・心理判定などを行える人を養成しています。先輩からひとこと 「教育心理コースでは、教育心理学を中心としつつ様々な分野の心理学について学ぶことができます。専門分野の異なる5名の先生方がいらっしゃるため、知覚や認知を始めとした基礎心理学から臨床や教育といった応用心理学まで、自分の興味がある分野について幅広くまた深く学習をすることができます。海外誌の英語論文を購読することもできるので最先端の心理学について学ぶことができ、質の高い研究をすることが可能です。また、卒業研究では自分のやりたいことや興味・関心があることについてとことん追求することができます。卒業研究を通して身につく論理的なものの見方や考え方、得られたデータから情報を読み取り信頼性・妥当性を検討する批判力や統計リテラシーは、大学のみならず社会に出てからも必要とされるものです。 私の所属する研究室では、身体の内部感覚と時間知覚の関連や、どうすれば他者の視点に立てるのか、文化差で学習の仕方は変わるのかといったテーマを中心とした研究をしています。卒業研究では心理実験を予定しています。心理実験は条件の統制が非常に難しく、手法を誤れば得られる結果が大きく異なってしまう繊細なものです。実験の計画・実行はとても大変ではありますが、実験がうまくできたときに得られる達成感はとてつもなく大きなものです。 大学は単に学ぶだけのところではありません。好奇心や興味によって自分のしたいことを研究する場でもあり、これは中学校や高校にはないところです。日頃感じている些細な疑問をそのままで終わらせるのではなく、「なぜ?」と突き詰めていくことが、研究を始める第一歩だと思います。是非、その疑問を大切にしていってほしいと思います。」(4年 藤巻凌さん) 「このパンフレットを手に取り、教育心理コースのページを読んでいるあなたは、おそらく心理学に興味をお持ちなのでしょう。あなたは「教育心理学」と聞いて何を思い浮かべますか。また、このコースに入ってみて、何の研究をしたいと思いますか。 教育心理コースを選んだ人たちの理由はさまざまです。カウンセラーになりたい人、心理学が面白そうだと思った人、あるいは就職を考えたときに妥当だと思った人。私の同期もそれぞれ理由があってこのコースに入っています。私自身は弱い自分の心を分析し、変えたいと思い、このコースを選びました。それぞれ異なる理由があっても、私たちには共通した方向性があり、それを前提として研究に取り組んでいます。 それは、人の行動や動機が発現する仕組みを、教育分野の視点からアプローチすることです。教育心理コースではまず、子どもの学習に対する動機付けや、学童期の精神発達の過程など、教育分野に関係する心理学の理論を学びます。基礎的な理論を身につけたのち、心理学実験やスクールカウンセリング実習などの専門的な実践へと移行します。しかし、ただ理論を覚え、実践をこなすだけでは研究を形にできません。大切なのは、学んだことを日常にある身近なことに結びつけ、自分が追究したい研究テーマに繋げることです。このコースを選んだ人は、「教育心理学」という枠組みの中で研究テーマを見つけ出し、より深みのある研究へと発展させていくことが求められます。 このコースに興味を持った方は、教育心理学を学ぶことで何ができるのかを想像してみてください。そして、自分にとって有意義な研究ができるかをよく考えてから、最良の選択をしてください。」(4年 大島麻衣さん)取得可能な免許・資格 教育心理コースでは小学校教諭1種免許を取得できます。また、それを条件として特別支援学校教諭1種免許と幼稚園教諭1種免許の取得が可能です。 心理学関連では、認定心理士の資格が取得できます。就職状況 例年、教師として学校現場に出ることを目指す学生が一定数います。近年、子どもをめぐる状況は複雑化しており、生徒と上手く関わったり、よりよい授業を行うためにも、心理学的な知識が求められます。また、スクールカウンセラーなど、心理の専門家とも連携できる力が求められています。 他には、公務員での心理職、児童相談所の心理判定員や家庭裁判所調査官のような心理の専門職を目指す学生もいます。また、実践や研究を深めるため、大学院へ進学する学生もいます。カリキュラムの特徴 「学習心理学」「知覚心理学」「認知心理学」など人の心の仕組みについての基礎知識を学べる科目、「発達心理学」「青年心理学」など人の発達に関する心理学的な基礎知識を学べる科目、「心理学研究法」「心理学実験法」など心理学を自分でできるようになるための科目、「教育の方法と技術」などよりよい授業実践につながる科目、「教育相談」や「臨床心理実習」など子どもたちの心理的サポートに役立つ科目を学びます。このように幅広く学び、4年生では自分の関心領域のテーマで卒業論文を作成します。教員一覧と専門分野石津 憲一郎(カウンセリング心理学・学校心理学)小川 亮(教育心理・教育工学・情報教育)姜  信善(発達心理学)近藤 龍彰(発達心理学・臨床心理学)佐藤 德(社会心理学・実験心理学)□心理学を活かした教師になりたい人□心理学を活かした仕事をしたい人□心の仕組みを知りたい人写真左:4年 藤巻凌さん<富山県出身>写真右:4年 大島麻衣さん<富山県出身>□□□ Educational Psychology こんな人にお勧めします!7

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