富山大学人間発達科学部案内2021
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教育心理コース発達教育学科 よりよい教育を行っていくためには、人(子ども)はどのように世界を認識し、どのように世界と関わっていくのか、どのように発達していくのかについて、しっかりと知っておく必要があります。教育心理学では、このような人(子ども)が持っている心理的なメカニズムについて学んでいきます。具体的には、記憶のメカニズム、学習のメカニズム、やる気のメカニズムなどについて、基礎知識を習得します。 このような人間心理のメカニズムは、教育という仕事を行う上で重要な知識であることはもちろん、自分を知る・人間を知るというより広い視点でも重要な知識となります。 「臨床心理実習」では実際の教育現場に出て、悩みを持つ生徒と関わりを持つ実習を行います。その前提として、学校現場で相談活動を行うために必要な知識やコミュニケーション技術の演習などを行います。 実際に悩みを持つ生徒とのコミュニケーションは千差万別で、1つとして同じようなパターンを示すことはありません。そのような1人1人が持つ思いにしっかりと寄り添い、共感するという体験を積んでもらいます。この経験は、将来教育現場に出た時だけでなく、より広い社会活動で活きてくると思います。 心理学は大きな分類としては社会科学に含まれる分野であり、他の社会科学と同じように、客観的・科学的な手法にのっとって人の「こころ」を分析し、その一般的傾向や法則性を見出していく学問です。そこで重要になってくるのは、分析対象となるデータを客観的・確かな形でどのように集めるか、といった収集方法や、得られたデータを体系的に解析して豊かな情報を引き出していくための分析手法です。 心理学の研究対象である「こころ」は捉えどころのないものなので、ターゲットとして幅が広く、そのためデータの集め方や分析手法にも多くの種類があります。この授業では、心理学の研究論文を調べて読むことで、科学としての心理学的データの集め方や分析手順を学んだり、それらを踏まえて実際にデータを集めて分析してみたりすることで、心理学の研究の“作法”を実際的に学びます。心理学研究法教育心理学臨床心理実習 臨床心理学は幅広い心理学分野の中で、心理療法・心理アセスメント・カウンセリングといったトピックを含み、心理的な困難を抱えた人の支援にかかわる、実践の学です。さらに、心理的な困難を多角的に理解するため、精神医学や異常心理学といった近接領域のトピックも関係してくる、とても幅広い学問分野になります。 この授業では、このように幅広い内容からいくつか重要なものを取り上げて、丁寧に解説していきます。無意識的な「こころ」の影響であったり、具体的な行動の改善であったり、「こころ」の自己治癒力的な話も含みます。 この授業を通して、心理的な適応・不適応とは何かについて深く問いかけ考えることにより、自分自身のメンタルヘルス、ひいては自分自身の来し方行く末を考える、良き機会になるかもしれません。 心理学では、人の心の仕組みを知るために、実験や調査などを通してデータを収集します。「心理統計」では、そのようにして集めたデータを分析・理解していく手法を学びます。具体的には、統計学の基礎知識、データの分析方法についての基礎知識、実際のデータ解析の体験を伴う学習を行います。 このようなデータ解析を通して、ある心理的介入の効果が本当にあったかどうかや、人の心の仕組みについての仮説を検証することができます。データ解析の知識や技能は、心理学に限らず、今後どの職種においても重要なものとなってきます。特に「人」に関わりを持つ仕事においては、必須のリテラシーとなりますので、ぜひ学んでもらいたいと思います。心理統計学臨床心理学 この授業では、代表的な心理学の実験をいくつか体験・実施してもらいます。このことを通して、人の心理に関して現在分かっている理論や仮説について、より深く学んでいきます。また、実験計画の立て方、仮説を検証するための条件統制の考え方、データ解析のやり方、レポートの書き方などを学んでいきます。これらは、今後実際に自分が研究する際に必要な知識・技能であるとともに、実際に社会に出た後も役に立つスキルだと言えます。教育心理学実験学校教育コース発達教育学科 この講義では、学校から地域へどのような連携を投げかけて交流を行ったらよいのかについて、求められる知識や態度を育成することを目的にしています。毎回、学校における地域交流活動の事例を紹介したり、ゲストスピーカーを招聘したりして、最終的には、受講生が企画した地域交流活動を画用紙1枚にまとめてプレゼンテーションを行います。 写真は、黒部市美術館の学芸員さんに館の活動についてお話をしていただいているところです。 小学校で音楽の授業を担当する教員として必要な知識と技能を身につける科目です。写真は、グループに分かれての教材研究で、「こきりこ」を歌とリコーダー合奏に編曲してやってみようというものです。 この講義では、「教育とはそもそもどんな営みだろうか」、「過去と現在で教育や学校のあり方にどのような変化があるのだろうか」といった問いのもと、教育をめぐる理念や思想、歴史について学習します。こうした学習を通して、教育学の各分野や各教科の指導法を学んでいくための土台を固め、また、現代社会における教育や学校の意義・可能性・課題について自ら批判的・創造的に考える力を養うことを目指します。教育の思想と歴史地域交流活動論音楽科教育論 この講義では、小学校の図画工作科の授業を担当するために必要な知識や技能を獲得することを目的にしています。毎回、実際に小学校で使用されている教科書を用いて班ごとに教師役の学生が模擬授業を行いながら、指導に求められる基礎的な事項や理論について学ぶことができるようにしています。写真は、6年生の「くるくるクランク」の導入を教師役の学生が行っているところです。 この講義では、「なぜ理科を学ぶのか」、「理科の学習指導方法論には、どのようなものがあるか」といった、理科の授業を行う上での基盤となることについて学習することに加えて、小学校理科で行われる観察・実験を自らが体験しながら、授業を担当するために必要な知識や技能が獲得できるように配慮しています。さらに、小学校理科の授業参観や、自分自身が教壇に立って授業を行う模擬授業を通して、実践力の向上を図っています。理科教育論図画工作科教育論 総合的な学習の時間は、教科の学習と異なり、教科書がありません。児童生徒が自ら学習の課題を設定し、情報を収集し、それを整理・分析し、その結果をまとめ、表現します。この講義では、児童生徒が自ら課題を設定するための教師の支援、児童生徒が主体的に情報収集を進めるための教師の支援などを学びます。文献等を基にしながらも、受講者同士の話し合いを中心にして、具体的な支援や指導の方法等を考えます。教師になったときに必要な実践的な力を付けることをねらいます。総合的な学習の時間教育論授業や研究の様子13

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