工学部案内2016
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22CLOSE UP LABORATORY 心臓や肺、肝臓、腎臓などの重症患者を救う最後の手段として臓器移植が考えられます。しかしドナー不足が深刻な日本では臓器移植が難しい傾向にあります。人工心臓などの機械に置き換える方法もありますが、患者が転倒するなど大きな衝撃があった場合に故障する可能性があること、子どもの場合は成長に伴い、機械を入れ替える必要があるなどの問題があります。 近年、ES細胞やiPS細胞などが話題になっていますが、これらを並べて必要な臓器にするまでには膨大な時間がかかります。その課題を解決するのが、中村真人先生によって考案された3Dバイオプリンタです。このプリンタは、手作業では膨大な時間がかかる細胞を並べる工程を短時間で行うことができます。自分の細胞から必要な臓器を短い期間でつくることができれば、拒絶反応を起こす可能性は低くなり、多くの人の命を救うことにつながります。3Dバイオプリンタは、その第一歩として医療業界からも大きな注目を集めているのです。 ただし臓器をつくるには毛細血管や筋線維など複雑なパーツが必要になること、単に細胞を並べるだけでなく「束ねる」「接着する」などの作業が必要になるなどの課題があります。それらを化学系、医薬品系などの製造業が主な就職先ですが、大学院で専門性を高める学生が多いです。北陸・東海・関東甲信越にバランスよく就職しています。3Dバイオプリンタをはじめ、精密工学の技術を医療に生かす研究室紹介どう解決するかが今後の大きな研究テーマ。「工学技術には医療に応用可能なものが数多くあります。たとえばインクジェットプリンタの微粒子を均一に吹き付ける技術は製薬などに応用可能です。精密工学で培われた技術を生かして機械・装置を開発し、今後の医療の発展に貢献したいですね」と中村先生は話しています。【製造】旭化成、アステラスファーマテック、池田模範堂、出光興産、井村屋、大塚製薬、キョーリンリメディオ、廣貫堂、金剛薬品、敷島製パン、島津製作所、信越ポリマー、第一ファインケミカル、大協薬品工業、テルモ、東亜薬品、東芝、東洋水産、富山化学工業、日医工、日本合成化学工業、三菱レイヨン、明治製薬、森永乳業、山崎製パン、ライオン、リードケミカル、和光純薬工業、YKK 【建設】鹿島建設 【公務】金沢大学医学部、国立環境研究所、新エネルギー・産業技術総合開発機構、富山県庁、岐阜県庁就職状況主な就職先(大学院修了生を含む)小児科の臨床医から工学部の教授へと転身した中村真人先生は、現在3Dバイオプリンタの研究開発に取り組んでいます。今の医療界でその役割が期待される3Dバイオプリンタが持つ可能性と、中村先生が工学の道に進んだ理由などについてお話を伺いました。生体システム医工学中村真人教授Career業種製造業31%教育・学習支援業 2%甲信越 4%関東27%東海15%近畿 4%九州 4%石川・福井15%富山31%進学46%情報通信業4%卸売・小売業 9%サービス業 4%公務 4%地域

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