工学部案内2016
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26CLOSE UP LABORATORY 工場から出される排水の多くには重金属が含まれており、環境保全の点からこうした重金属を取り除くことが大きな関心事になっています。加賀谷先生は、樹脂材料を用いてこのような重金属を分離する技術の開発に力を注いできました。 工場排水から環境に負担をかける重金属を簡易に分離できれば、排水処理にかかる経費を大きく削減することができます。さらにその重金属が希少なものであればリサイクルすることも可能。つまり工場にとっては「環境に負担をかけず、リサイクルによって省資源にも貢献でき、経済的にもメリットがある」技術といえます。「これらの樹脂材料はすでに商品化されているものもありますが、その多くは分離できる重金属の種類や量が限られています。それをより効率的に分離するための技術開発を進めています」(加賀谷先生)。このほかメルボルン大学などと共同で、膜を用いて元素を分離する技術の開発や河川・海水の水質調査を簡単かつ効率的に行う材料の開発などにも携わっています。 「社会に出て職場で何かトラブルが起きたとき、いかに早くその問題を解消できるか。学生には研究活動を通してそういった力も身につけてもらいたいと思っています」と語る加賀谷先生は、製造業をはじめ多様な業種へ就職。また約4割が大学院に進学しています。北陸地方への就職が中心ですが、東海・関東・近畿にもバランスよく就職しています。元素を分離できる機能性分子材料を開発化学の力で地球環境保全に寄与研究室紹介実験で得られた結果に対して常に「なぜそうなったか」を考えさせる指導を行っています。さらに大学院生には国内外で開催される学会での発表を義務づけるほか、学部4年生にも希望者は学会の地区大会で発表させるなど、研究成果の発信を通じてプレゼン力の強化にも力を注いでいます。【製造】アース製薬、旭化成、出光興産、エア・ウォーター、大塚製薬、花王、キッセイ薬品工業、キャタラー、協和発酵キリン、廣貫堂、小松精練、塩野義製薬、敷島製パン、スズキ、住友精化、大正薬品工業、第一三共、第一薬品工業、タカギセイコー、東亞合成、東芝、富山住友電工、豊田鉄工、日産化学工業、日本カーバイド工業、日本合成化学工業、日本新薬、日立国際電気、福寿製薬、富士化学工業、富士製薬工業、富士石油、三菱化学、三菱樹脂、森永乳業、ユニ・チャーム、ライオン、リードケミカル、YKK 【公務】富山市役所、各県警察など就職状況主な就職先(大学院修了生を含む)化学物質は一般的には環境に悪影響を与えるものと思われがちです。しかし加賀谷重浩先生は、河川・海の水質検査を行うための材料、工場排水から重金属を回収することのできる材料などの研究開発に、化学分野から取り組んでいます。化学の力で環境保全に寄与する加賀谷先生の研究を紹介します。環境機能分子化学加賀谷 重浩教授Career業種製造業31%建設業 6%公務 2%関東17%東海23%近畿13%石川・福井10%富山37%進学39%サービス業12%金融・保険業 4%電気・ガス・水道 2%情報通信業 2%教育・学習支援業 2%地域

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