富山大学人文学部案内2020
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12●卒業論文に採り上げられた研究テーマ例「J.S.ミルの他者危害原則における安楽死の考え方について」「キルケゴール『死に至る病』における、 絶望と「絶望が全く根こそぎにされた状態」の定義について」「ユングの分析心理学における、元型の持つ役割 ―アニマ・アニムスを中心に―」「クワインの自然化された認識論における循環に関する考察」船木 悠平(ふなき ゆうへい)さん株式会社 北日本新聞社 2013年卒業■哲 学「アリストテレス『ニコマコス倫理学』 第一巻第一章から第二巻第一章における「善」について」「アウグスティヌスのマニ教、キリスト教の信仰の変遷」「『古事記』における古代日本人の女性観について」「「修証一等」からみる道元の思想―『正法眼蔵』を中心に―」「自由と自由からの逃避について―サルトル『存在と無』における―」「人間を人間たらしめているものは何か ―ハンナ・アレント『人間の条件』における労働批判を手がかりとして―」■人間学田畑 真美(たばた まみ)教授教育研究分野/人間学哲学演習の授業風景 哲学の古典的文献の精緻な読解により哲学者の思想を理解し、学生同士のディスカッションを通じて哲学的な思考力を養います。 学生同士の議論 ディスカッションを通じて他者の意見を分析し、自分の考えを表現する力を高めます。 人間学演習の授業風景 西洋や東洋の思想、あるいは現代思想のテクストについて研究・発表し、質疑応答を通じて人と思想の理解を深めます。  専攻した哲学をはじめ、日本史から日本文学まで幅広く学びました。じっくりと腰を据えて書物や参考文献を読み込み、自分の考えをしっかり持つことの重要性に気付くことができました。卒論は、18世紀イギリスの哲学者、ジョージ・バークリの「非物質主義」に取り組みました。 就職にあたっては、県内で頑張る人の活躍を伝えたい、富山県をもっと元気にしたい、と思ったのがきっかけで、県内各地の人・物の動きを取り上げ、各種事業を積極的に行っている北日本新聞社に決めました。実際に仕事をしていく中で、人文学部で学んだ「いろいろな見方や考え方があるということ」「視点を変えて見ることの大切さ」が大きく役に立っています。 読者の方から「いい写真だったね」と言われるとうれしくなります。また、2014年1月に行われた全国高校サッカー選手権大会では、富山第一高校の選手が活躍する姿を撮影するという貴重な体験もできました。 哲学・人間学コースの人間学教育研究分野の魅力の一つは、古典を通して先人達との深い対話ができること。古典を読むとは、単なる知のツールの習得ではありません。その著者と深いところで対峙し、語り合うことで、自分という人間にも向き合うことになるし、また自分以外の他者、人間そのものにも向き合うことになります。 もう一つの魅力は、受講生や教員が、物事について自分の意見を分かち合えるところです。ともに同じテキストを読み、同じテーマについて考え、それぞれの受け止め方や解釈のしかたを語り合い、分かち合うことができます。 本に書いてあることや思想家が語ったことを、咀嚼せずに丸呑みせず、立ち止まってじっくり考え、対処できる姿勢と力を身につけてほしいです。また、たえず自分の立ち位置を確認し、できるだけ中立的客観的に真理を探究する姿勢を身につけて欲しいです。何か熱中できるものを見つけ、積極的に取り組んでほしい。自分の世界を狭めることなく、広く深い物の見方・考え方を。31232Professor's Voice教員からのメッセージOB・OGVoice卒業生からのメッセージ

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