富山大学人文学部案内2020
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20●卒業論文に採り上げられた研究テーマ例 大学時代は音声学に興味をもち、言語調査の方法について勉強しました。そこで学んだことを生かそうと、今の仕事に就きました。医療の世界では、例えば看護師や言語聴覚士などの養成課程として、言語学や音声学の知見が必要とされます。また、私自身も認知症や記憶障害などをもう一つの研究課題とするために、日々勉強しています。 仕事で行う調査の一環として、調査対象の人たちの間に伝わる昔話や伝説などを収集することがあります。時に「お前も話せよ」と言われるのですが、これが存外難しく、いつもしどろもどろ。語りとは素晴らしい業だなと思います。 人文学部は規模が大きく、いろいろな専門が学べます。さまざまな刺激を受けられる環境は学生にとって大きな魅力。実用的かどうかなんて気にせず突き進む。何かに詳しくなると自信がつき、自信がつけば前を向ける。前を向くと視界が広がる。そんな4年間になるといいですね。 「日本語は難しい言語だ」「間違ったことば遣いをする人が増えている」といった発言を聞いたことはありませんか?言語、とりわけ日本語は、私たちにとってあまりに身近なものであるため、その特徴や新しい言い回しなどについて、証拠もなく感覚的な評価をしたり、思い込みをしたりということがよくあります。言語学コースでは、「言語学」と「日本語教育学」という関連性の強い2つの分野で、言語そのものの性質や日本語教育の様々な側面について、科学的な考え方を身につけていきます。 「言語学」の分野では、世界に幾千とある言語の多様性と共通性、個々の言語の発音や文法上の特徴、歴史や使用実態などを学ぶ中でデータに基づく客観的な言語観を養い、その分析方法を身につけます。学生は各自の関心に合わせて研究テーマを決め、出身地の方言の分析や異なる言語の特徴の比較など、さまざまな興味深い研究を行っています。■言語学「外来複合短縮語における省略部に関する考察」「「不十分さ」の現れやすいダケダ文の考察」「富山方言におけるゆすり音調に関する一考察 ―音声的特徴について―」「一日の終わりの時間表現の区別とその関連語について ―「夜ごはん」を中心に―」「副詞的成分「普通に」の新用法について」「外来語系形容動詞の現代日本語への定着度について」「ラ行五段化動詞の使用と定着―「愚痴る」と「サボる」を例に―」「学生間の役割依頼に対する断り表現 ―意味公式の出現数と性差に着目して―」「2モーラ=1モーラ姓のアクセント決定要因について」「外国人発話の翻訳テロップにおける性差と表現意図」「慣用句の形態変化の要因に関する考察」■日本語 教育学「フランス人日本語学習者の発音―拍の長短に着目して―」「意味に違いのある日中同形語の分析 ―日本語学習者向け中級教科書を対象として―」「レポート・論文での「どんな」と「どのような」、「いかなる」の使用の特徴 ―日本語学習者への説明の指針を探して―」「日本語学習者のための日本文学オノマトペ学習 ―村上春樹作品を中心に―」「「教わる」「教えられる」「教えてもらう」の使い分け ―日本語教育への応用を目指して―」「若者言葉としての「みたいな」に関する考察 ―コミュニケーション機能に注目して―」「日本語学習者が富山県観光サイトを読むために ―非外来語のカタカナ表記語の理解から―」「JSL児童生徒のための国語科学習教材作成に向けて―設問表現を中心に―」学生にとって、さまざまな刺激を受けられる環境こそが幸せ。山田 敦士(やまだ あつし)さん日本医療大学 保健医療学部(准教授) 1999年卒業安藤 智子(あんどう ともこ)准教授教育研究分野/言語学言語についての分析力は、知的活動の中でも極めて重要。教員と学生の交流 ことばの歴史や世界の様々な言語について自由に議論します。言語音の分析 PCで音響分析を行い、視覚的に発音を確認しています。授業風景 「言語学演習」では2分野に分かれ、各自の研究を発表したり、討論したりします。12332Professor's Voice教員からのメッセージOB・OGVoice卒業生からのメッセージ

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