医学部案内2016
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14医師,医学研究者を目指す皆さんへ医学薬学教育部 博士課程4年 角  朝信(石川県・羽咋高等学校卒業) 医学の道を目指す皆さんには大きな覚悟が必要です。学校の成績が良い,将来社会的に恵まれそう,周囲の人が勧めるから,肉親が医師だからといった安直な理由しか思い浮かばないのであれば他の仕事を選択するのが良いでしょう。そのような理由しか思い浮かばない人は医師になった時にこんなはずではなかったと思うかもしれません。自己の生活の質を追求せず,患者さんの回復を何よりの喜びとするプロの医師が皆さんの目に見えないところで必死に働いています。当直も多く,医師は肉体的にも精神的にも苦しい仕事です。医学部受験を控え,一生懸命勉学に励んでいることと思いますが,医学部入学後も卒業前はもちろん,卒業後も勉強し続けなければなりません。医学は日々進歩しており,覚えなければならない知識の量は膨大です。命を預かる仕事柄,曖昧な知識は許されず緊張感をもって頭に叩き込む必要があります。ここまでの文章を読んでもまだ医学の道を目指す熱意のある皆さん,富山大学医学部への入学を歓迎いたします。 医学部卒業後,大半の人は臨床医となり大学や研修病院で研鑽を積み約10年で一人前といわれるレベルに到達します。臨床医は日々,患者さんを診ることで患者さんから学び経験として蓄積されていきます。それは教科書では学べないものであり,一例一例が貴重な経験です。勉強したことを患者さんに還元できたとき,医師になって良かったと自覚できると思います。臨床医として働いていると根本的な治療法のない病気が数多く存在することに気が付きます。臨床の現場で汎用されている治療法は過去の医師や医学研究者の知見の集積があったからこそ成り立っていることを知ると,自分も治らない病気を治せるよう医学研究に取り組みたいと考えるようになります。大学院に入学し,実際に研究を始めると医学はサイエンスとしての面白さに満ちており,仮説を考え実証するという過程が単なる知識の詰め込みとは異なる科学的なものの考え方を鍛えるよい機会となります。富山大学には糖尿病,免疫,神経の領域をはじめとして卓越した研究をしている先生が多数在籍されており,医学研究をしたい人の期待に応えられる体制となっています。臨床と基礎研究を両立させるのは極めて大変です。時間があっという間に過ぎていきます。多忙で大変だけどやりがいがあって楽しい。医師,医学研究者とはそのような仕事だと思います。是非一緒に働きましょう。皆さんにお会いできる日を楽しみにしております。 医師を志している皆さん,富山の地でその第一歩を踏み出してみませんか。皆さんが夢見る医師像はそれぞれ異なると思いますが,医師になるために必要な全ての基礎は医学生の時期に培われます。富山大学医学部のある杉谷キャンパスは,他学部がある五福キャンパスや高岡キャンパスから離れて,呉羽丘陵の一角に医学部,薬学部,附属病院などが立ち並ぶ,まさに医療人を育成するためのキャンパスと言えます。皆さんは,このような環境の中で,医学部(医学科・看護学科)と薬学部合同の講義やセミナーなどを通して,医療に関する幅広い知識を身につけることができます。また,富山は古くから漢方薬との関わりが深く,東洋医学と西洋医学の融合をテーマとした全人的な医療についても学ぶことができます。 さて,学生生活にとって大切なことは,勉学と友情を育むことです。医学科の勉強は本当に大変です。まず医師としての素養を身に付けるために一般教養科目を学び,次に人体解剖を始めとする基礎医学系の実習や講義を通して人体の生命としての素晴らしさや神秘を学び,さらに実際の疾患について講義や附属病院での臨床実習でじっくりと学んでいきます。このような勉強ばかりの毎日を6年間も継続するには仲間のサポートが不可欠ですが,杉谷キャンパスは医療という共通のキーワードで繋がった学部を超えた部活やサークル活動が盛んであり,すぐに多くの仲間ができます。富山県は,3000m級の山々が連なる立山連峰から水深1000mを越える富山湾に至るまで高低差4000mのダイナミックで変化に富んだ地形を有し,そのために四季折々の風景が美しく,魚介類を中心に美味しい食べ物がいっぱいあります。このような自然に恵まれた中で,素晴らしい仲間と共に充実した医学生としての生活を送ることができます。 私は本学(正しくは医学部・薬学部の前身である富山医科薬科大学)医学部の一期生であり,入学してから今までの約40年間の歴史をずっと見てきました。開学当時から今も変わらないのは,教員と学生の距離がとても近いことです。本学の教員は,医学の進歩のための研究やよりよい医療を提供するための臨床業務で多忙を極めていますが,後輩を立派な医師に育て上げるための情熱もとても強く持っています。このように素晴らしい伝統と環境に恵まれた富山大学で医師としての第一歩を踏み出してください。皆さんをお待ちしています。富山で医師への第一歩を踏み出そう小児科学 教授 足立 雄一(富山県・富山中部高等学校卒業)

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