富山大学医学部案内2018
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14富山大学へようこそ医学薬学教育部 博士課程3年 小浦  詩(2007年 卒業) 将来こんな医師になりたい,こんな風に役にたちたい,新しい治療法をみつけたいなど,医師を志している皆さんはどんな未来を思い描いているでしょうか。 大学生活での6年間,研修医の2年間,自分の専門性をみつめるその後の医師生活,大学院での研究と,富山での日々は,自分が目標とする医師像に近づくためにひとつずつ積み重ねていく大切な時間です。 相手の思いを理解できる,慮ることができる技術は臨床医にとってとても大切だと思います。そして,複雑な問題を整理して,その中の一つ一つの問題を丁寧に解決していく探究心を持ち続けることは,医師としての成長に不可欠です。しかし,これらは勉強だけでは決して身につかないものです。これまでの自分に,これからの富山での日々を積み重ねていくことによって身についていきます。 大学入学後,同じ医療の道を志す仲間達との出会い,先輩・後輩との関係性から社会性を学ぶ部活・サークル活動,働く先輩医師の姿から医療現場での大変さと希望を感じる臨床実習,同級生みんなで乗り越える国家試験,初めての患者さんとの心を通じた関係に邁進する研修医,一人一人の患者さんとの関係から感じていたことを研究という枠組みで探求することの面白さを感じる大学院…自分自身のこれまでの富山での日々を振り返ると,それは何事にもかえがたいもので,今後の自分の基礎になっていくものだと感じています。 一人一人の患者さんに向き合うこと,患者さんから学ぶ謙虚な姿勢,一つ一つの問題に対する解決方法は,臨床実習や現場での同僚,指導医の先生方の診療への姿勢から学んでいきます。先輩医師の仕事への責任感,患者さんと対峙する情熱を感じ,自分もそうありたいと向上心をもつことができます。 富山大学には,各領域の専門家が集まるとともに,後輩の教育に熱心な先輩医師がたくさんいます。時には仕事以外の些細な悩みや愚痴に相談にのってもらうこともあり,地方ならではのアットホームな環境があると思います。 また,富山は,雄大な立山連峰を望み,海や山などの自然に恵まれた土地です。冬の雪,雪解けの春の喜び,夏の暑さなど四季のコントラストをしっかり感じ,自然環境に対応する忍耐力も身につきます。北陸新幹線の開業により,県外とのアクセスもとてもよくなりました。このような恵まれた環境の富山で是非一緒に自分の理想とする医師の姿に近づく日々を過ごしませんか。皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしております。富山大学医学部は,1975年に富山医科薬科大学医学部として開学し,2005年の富山大学との再編統合を経て,2015年に開学40周年を迎えました。すでに3,000名以上の医師を輩出している,歴史ある医学部です。医学教育は,世界的な変革期にあります。その背景には,新興国における医学校の乱立があり,教育の「質」保証が求められています。米国が2010年に,「2023年以降,国際基準で認証を受けた医学校の卒業生に限り,米国医師国家試験の受験資格を与える」と通告したことを契機に,日本国内で国際基準に準拠した認証評価が開始されました。本学は,全国で7番目に認証評価を受審しました。その結果,国際基準からみて十分な水準にあることが示されています。しばしば「医学は厳しく,医療は優しく」と言われます。医師には,医学と医療の両面から十分な「知識」,「技術」,「態度」が求められます。本学の学生は,講義実習室での医学の学修に加えて,1年次から「介護体験実習」で医療を学修します。その後,4年次から本学附属病院における「臨床実習」,地域中核病院における「地域医療実習」,米国などにおける「海外臨床実習」と,地域と世界の医療を学修します。医学と医療に関する6年一貫教育が,本学の医学教育の特徴です。また,本学の学生には,基礎医学講座に1か月間配属される「基礎配属」や,研究志向の強い学生に「研究医養成プログラム」が用意されており,在学中に長期の医学研究が可能です。実際,私の講座の学生は,「小児期からの生活習慣病予防に関する研究」,「心理社会的ストレスと健康に関する日本・英国・フィンランド国際共同研究」,「認知症予防に関する研究」などに参加し,学会発表や論文出版をしています。 本学では,学生支援も充実しています。大学の組織である学生支援センターや保健管理センターが,学生の生活面や健康面を支援しています。また,医学部同窓会や医学部後援会が,講義や実習,課外活動を支援しています。医学生にとって最も重要なことは医師免許の取得ですが,前述のとおり,本学では医師免許の取得にとどまらない多種多様な経験ができます。こうした経験は,皆さんの大学卒業後の人生にも良い影響を与えることでしょう。皆さんが,富山大学医学部を志望し,また,皆さんと一緒に学び働く日が来ることを願ってやみません。地域と世界に開かれた医学部を目指して疫学・健康政策学講座 教授 関根 道和(1995年 卒業)先輩からのメッセージ医学科

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