富山大学医学部案内2018
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  医学部の使命は良い医者と医学者を育てることにあるのはもちろんですが,もっと重要なことは優れた研究を行うことです。研究は新しい原理の発見によって医学や医療の進歩と人類の幸福に貢献します。医学の基礎研究は人間の機能と病態の解明にとって不可欠であり,基礎研究が人間の病態解明に貢献した例は数えきれません。古くは病原菌の発見から最近では遺伝子の構造決定まで,あなたも多くの例を思い浮かべることでしょう。医学研究に用いる手段は科学,特に自然科学であり,生物・数学・物理・化学といった学問の知識が応用されます。本学医学部基礎医学講座は,現在100名以上の教職員が学生の教育に当たりながら活発な研究を行っています。これらの成果は国内外の学会や専門雑誌に発表され,国際的にも評価されています。各スタッフの研究領域については,ここでは専門的になりますので触れません。ただ,杉谷(医薬系)キャンパス(以下「本キャンパス」という。)では,医学部,薬学部,和漢医薬学総合研究所が併設されていることによる利点も研究の中に生かされていること,及びキャンパスの垣根を越えた研究も進んでいることを付け加えておきます。本来,人間の機能,病態の研究は医学部の枠の中のみで進めることのできるものではなく,数学,心理学,薬学,工学など種々の分野の専門家と共同で進めていく,いわゆる学際的研究の形をとることが理想的で,記憶・学習,情動,運動機能の解明や,癌,遺伝病などの研究はそのようにして発展してきた良い例です。このような協力は基礎研究と臨床研究との間でも行われ,医学と医療が進歩してきましたし,これからも続くことでしょう。 今日,各方面から生命科学(Life Science)の重要性が盛んに強調されています。この多くは21世紀の課題であり,その要になっているのが脳,遺伝子をはじめとする基礎研究です。応用はこれらの成果に基づいて実行されるのですが,成功に至る過程は単純なものではなく,多くの研究者達のたゆまぬ地道な研究によって進められていきます。研究の推進には政府や民間団体等からの財政的援助はもちろん必要ですが,これら未知の分野に突き進んでいく意気込みをもった若い優秀な人材を得ることが大変重要なのです。本キャンパスには,創設期の熱気がなお続いており,医学の進歩のために,日夜努力が続けられています。夢をもった若い皆さんがこの分野にも進出してくれることを熱望しています。 現代の医学教育,研究においては,種々の条件を可能な限りコントロールした精度の高い動物実験が必要であり,最先端技術を結集した高性能の分析装置や電子顕微鏡,あるいは放射性同位元素(RI)を利用するウイルス感染した細胞を電子顕微鏡でみる4基礎医学の立場からGUIDANCE生命,その構造と機能

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