富山大学医学部案内2020
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14富山大学で医学を実践・研究しよう生命融合科学教育部 認知・情動脳科学専攻 博士課程3年 三原 美晴(2002年 卒業)卒業後,同級生の多くは臨床医として専門科で研鑽を行っています。私も本学を卒業し,小学生のころからの夢であった眼科医になるべく,本学眼科学講座に入局しました。眼科医として15年以上経ち,主に斜視・小児眼科を専門に診療を行っています。臨床を長く経験するほど,専門分野を突き詰めるほど「なぜ」が生まれてきます。もちろん大学時代も,アレルギーや感染はどう起こるのか,視覚などの感覚はどう認知されるのかという疾病や生体の精巧な仕組みへの「なぜ」があります。しかし,大学時代までの疑問のほとんどは,講義や教科書で解決するものばかりでした。大学を卒業し,医師となって日々の臨床を実践するうちに生まれてくる疑問は,徐々に答えがまだ見つかっていないものばかりになっていくのです。さて,その未解決の「なぜ」に気付いてしまった方は,ぜひ大学院で突き詰めることをお勧めします。私は社会人大学院生として,日頃は附属病院で患者さんを診療しながら,生命融合科学教育部の学生として研究をしています。生命融合科学教育部は,理工医薬学部が集結した他にはない博士課程です。他学部の講義も受けることができます。医学をずっと勉強・実践してきた身としては,本学の理工薬学部のスペシャリストの講義を受けた時は衝撃が走りました。すごすぎる,これが可能になれば医学がもっと変わるという研究がたくさんあるのです。しかもこんな身近に。これは大学院のカリキュラムでなければ,私は知る機会がなかったかもしれません。そして医学は,様々な分野の地道な研究で支えられ,診断や治療はその上に成り立っていることを知るのです。また,研究は自らの手で解明していく興奮とともに,その成果を世に出すための苦労を味わうこともあります。そんな時,大学院の指導教員・上司・同僚・家族からのアドバイスや激励の後押しはとてもありがたいものです。このように,歳を重ねても,日々の診察・手術の鍛錬に加え,大学院での研究・海外学会での発表など,大学卒業時は自分には無縁と思っていたことにもチャレンジできる環境と刺激が富山大学にはあります。私は他県出身ですが,富山県は降雪による明快な四季の変化,食の充実,杉谷キャンパスからよく見える雄大な立山連峰に加え,大都市へのアクセスも便利になり,地方として大変魅力的なところです。富山大学でぜひ研究を盛り上げてほしいと思います。みなさんはどんな医師になりたいと思って,今この文章を読まれていますか?富山大学医学部出身者の中には,ドクターヘリに乗って現場に登場する医師もいれば,離島,過疎地で地域に従事する医師もいます。発展途上国で保健医療に従事する医師もいれば,基礎研究で世界をリードする医師もいます。様々な医師像があり,その思いに応えるために医学教育があります。では,富山大学ではどんな医学教育をしているのか,きっと興味があることと思います。一例になりますが,私も一教員として,医学生に講義を行っています。テーマは専門である小児救急や子どもの命を考える小児生命倫理です。子どもは元気であるのが当然なのですが,それが当然ではない世界が小児科医の世界です。子どもを救うというのは一体どういうことなのか,子どもの死に立ち会い,それをどう受け止め,家族へ対応するべきなのか,とても難しい話ですが講義で学生たちに問いかけ,考えて議論をし,まとめてもらっています。それらを見ていて富山大学の学生は大変頼もしいと感じています。ただし,勘違いをしないでほしいと思っていることは,与えられたものだけで成長する幅と,自ら学ぼうとすることで成長する幅というのは明らかに異なるということです。われわれはあくまで自ら学ぶきっかけを与えるだけです。多くの熱意ある教員たちが講義という形できっかけは与えますが,その先は学ぶ側の責任でもあります。医学部に入ることが目標にならないよう,今から漠然とした像で構わないので,医師像を持っておくことが重要です。目標を持って自ら研鑽する姿勢を持っていれば,その像を作り上げるためのきっかけはここ富山大学にたくさんあるはずです。一般的な医学教育以外のプログラムも多数整備され,基礎配属という基礎研究体験期間もあり,学年が進むと米国など海外の医療機関への実習プログラムも希望者には準備されており,様々な経験ができることと思います。このような取り組みが評価され,2018年3月に当大学の医学教育は「国際基準に適合」と日本医学評価機構から認定されました。これは国内で7番目,北陸では初の認定となります。富山大学で富山,日本,そして世界の病める人たちのために役立つ医師を目指しませんか。きっと,予想以上の時間が過ごせるはずです。私は県外出身者ですが,富山の景色と風土に魅了された一人です。晴れた日の立山連峰,雪が降った日の月光で浮かび上がる街並みなど富山の景色は何十年見ていても飽きることがなく,自然の雄大さを感じ,それが人の心を育むと肌で感じられます。そして,この地に住む人々を守りたい,そう思わせてくれる風土があるのです。AMAZING TOYAMA小児科 講師 種市 尋宙(1998年 卒業)先輩からのメッセージ医学科

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