富山大学医学部案内2021
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健康と看護学の課題近年,情報技術の急速な進歩を背景に,AI(ArtificialIntelligence)やIoT(InternetofThings)が登場し,医療界もポストヒューマンの時代になるかもしれないと予想されています。つまり人間が考える前にすでにロボットがその答えをだしているかもしれないのです。一方で,どんなに社会が変化しても人々の健康と幸福を支援するという看護学の原点は変わりません。このような今こそ,多様で複雑な患者さんの「からだ」と「こころ」に対峙すべき医療人の本質を見直す必要に迫られているのではないでしょうか。原点は同じでも大学教育ではこれまでと同じことを繰り返すのではない,常に新たなことを創造していくことが求められます。そして,この創造は社会の変化に密に対応していなければならないということです。これらに触れて自ら考えていくことが大学での学びであり,新たな展開への持続ということだと思います。1年次教育初年次の教養教育は主として五福キャンパスにおいて全学共通のカリキュラムを履修することから始まります。ここでは9学部の1年次が各自の選択する科目で授業を受けます。また,全学共通の部活動やサークルもありますので,3つのキャンパスでの学生間交流もでき,お互いの意識を高める機会も持てます。富山大学の学部学生数は全学年で8000人以上です。北陸出身の学生さんが比較的多いとはいえ,看護学科においてもその出身県は全国に広がっているのが特徴です。言葉や郷土の文化の差異もあり,幅広い交友が広がることは学生生活の大きな魅力です。医療学入門は医薬合同の講義で,杉谷キャンパスにて行われ,医療者としての共通の理解を出発点におき,将来の基礎を築きます。また1年次のうちから看護基礎科学や専門科目(看護学原論,看護対象論,看護方法論)が開講し,2年次にかけて「からだ」の授業を中心に学びます。2年次教育2年次以降は杉谷キャンパスでの看護専門科目の授業が始まります。疾病学,薬理学,微生物学に加えて,成人看護学,小児看護学,母性看護学,老年看護学,精神看護学の看護領域(総論および各論)が中心です。また医学科との合同授業として和漢医薬学入門が実施され,東西医学の融合を目指す本学の理念を学びます。本学では臨床医学の授業が多いのも特徴で,大学病院の専門診療科の医師がすべて行っているため,実践的かつ最新の講義が受けられます。すべての授業が杉谷キャンパスで実施されるため,課外活動にも時間がかけやすくなり充実します。体育系部活動では2年次後半から3年次にかけて選手ならびに運営の主軸となり,新たな人間形成の場にもなっていきます。同様な時期に精神看護学総論が始まり,3年次にかけて精神臨床医学など「こころ」の学びが増えてきます。富山大学医学部看護学科カリキュラムの特徴看護学科長 金森 昌彦現代社会に生きる人間の「からだ」「こころ」「くらし」を見つめなおし,多様性とマイノリティを理解できる医療者を養成します 1年 2年 3年 4年看護基礎科学教育(専門)看護学教育(専門)助産学教育看護研究初年次教育看護学科カリキュラム概要8

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