富山大学医学部案内2021
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GUIDANCE医学部の使命は良い医者を育てることに加えて,優れた医学研究を行い,優れた医学研究者を育てることです。研究によって新しい原理を発見できると,医療の進歩,人類の幸福に貢献します。医学の基礎研究は,人間のからだの仕組みの理解と病気が起こるメカニズムの解明に不可欠であり,基礎研究が人間の病気の解明,治療法の開発に貢献した例は数えきれません。最近では,本庶佑博士のノーベル賞の受賞が良い例です。試験管内で得られた研究結果をもとに,患者自身の免疫を活性化させて,がんに対抗させる抗体(オプジーボ)を開発し,マウスを使った研究を経て,臨床応用に発展し,多くのがん患者に大きな希望を与えました。富山大学の基礎医学系の講座には,現在,解剖学,統合神経科学,生化学,再生医学,病理診断学,病態・病理学,感染予防医学,免疫学,微生物学,分子医科薬理学,システム情動科学,分子神経科学,遺伝子発現制御学,行動生理学の講座があり,教職員が学生の教育に当たりながら活発に研究を行っています。特に脳・神経系の仕組みは未知の部分が多く,富山大学医学部では,脳関連の研究に特に力を注いでいます。2020年度より生化学講座の井ノ口馨卓越教授をセンター長として「アイドリング脳科学研究センター」が設置され,睡眠や無意識状態での脳の働きとそのメカニズムの先駆的な研究が進められています。その他の分野においても活発に研究が行われており,これらの成果は国内外の学会や専門雑誌に発表され,一部は,国際的トップジャーナルであるCell, Science, Natureなどにも掲載され,国際的にも高く評価されています。医学部がある杉谷キャンパスでは, 医学部のほかに,薬学部,和漢医薬学総合研究所が併設されている利点を生かし共同研究が活発に行われています。さらに,キャンパスの垣根を越えた工学部,理学部,その他の学部との共同研究も進んでいます。人間のからだの仕組みやはたらき,病気の研究は医学部だけではとうてい進めていけるものではなく,数学,心理学,薬学,工学など様々な分野の専門家と共同で進めていくことが理想的で,富山大学医学部では理想的な形で基礎医学研究が進んでいます。また,このような基礎医学研究は,臨床への応用を目指しており,基礎の研究室と臨床の研究室との共同研究も活発に行われています。現代の医学研究には,将来の臨床応用を見据えて,種々の条件を可能な限りコントロールした精度の高い動物実験が必要であり,また,様々な最先端技術を駆使した解析が必要不可欠です。このような実験に必要な機器は,非常に高額で,個々の講座で購入することはできません。富山大学杉谷キャンパスにはこうした施設や機器を共同利用する場を提供する生命科学先端研究支援ユニットがあり,動物実験施設,分子・構造解基礎医学の立場から医療と基礎医学富山大学の基礎医学富山大学の基礎医学を支える環境生化学講座の研究成果が米国科学雑誌の表紙を飾る10

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