富山大学医学部案内2021
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析施設,遺伝子実験施設,アイソトープ実験施設があります。動物実験施設では,一般の実験用動物のほか,遺伝子を改変した動物,特定の微生物や寄生虫がいない清浄度の高い動物などが飼育され,研究に用いられています。また,微生物の感染の影響をみるための感染動物実験室や,人工授精やゲノム編集などを行う胚操作室,マウスの行動を調べる行動実験室等が設置されています。近年,動物実験に対しては動物福祉の観点から,動物の受ける苦痛を減らし,より少ない動物の犠牲でより大きな成果をあげる努力が求められており,各研究者はもとより,動物実験施設としても,この点に配慮した運営を行っています。分子・構造解析施設には,各種の分離・分析装置から工作機器にいたるまで,様々な最新鋭の機器が設置されています。例えば,ノーベル賞を受賞した富山県出身の田中耕一博士が開発した質量分析装置は,微量な物質がどのような物質であるかの同定に用いられています。そのほかに,分子と分子の相互作用を解析する装置(表面プラズモン共鳴検出装置),分子の構造を解析する装置(核磁気共鳴装置やX線構造解析装置)などが設置されており,物質や細胞の分離・解析のために,学内の研究者に広く利用されています。遺伝子実験施設では,最近急速に発達してきたゲノム編集の技術やそのほかの遺伝子組換え技術を用いて,遺伝子を改変したり,遺伝情報を読み取ったりすることにより,正常な人のからだの働きの仕組みや病気の成り立ちを知り,治療に役立つ情報を得るための研究が行われています。アイソトープ実験施設では,放射線同位元素(RI)を用いた研究が行われています。放射能をもつRIの使用は法令で厳しく規制されており, 本キャンパスでは,すべてアイソトープ実験施設内で行われています。RIを用いた実験は非常に感度が高く,ごく微量な物質を使う研究に利用されています。今日,生命科学(Life Science)の研究は,再生医学やゲノム編集の技術の発展により,新たな段階に入りつつあります。これまでに得られてきた基礎研究の結果をもとに,細胞や動物を人為的に改変することにより,からだの中でどのようなことが起こるかを,簡単に解析できる時代になってきました。基礎研究と臨床研究は車の両輪であり,どちらが欠けても前へ進みません。研究の成果をあげるための道のりは単純なものではなく,多くの研究者達のたゆまぬ地道な研究によって進められていきます。研究の推進には政府や民間団体等からの財政的援助はもちろん必要ですが,未知の分野に突き進んでいく意気込みをもった若い優秀な人材の参入が不可欠です。杉谷キャンパスでは,医学の進歩のため,大きな希望・目標に向かって日夜研究が続けられています。夢をもった若い皆さんがこの分野にも進出してくれることを熱望しています。基礎医学Fundamental社会医学Social臨床医学ClinicalScience&Art基礎医学Fundamental社会医学Social臨床医学Clinical基礎医学Fundamental社会医学Social臨床医学ClinicalScience&ArtScience&Art生命科学の進歩と若い力ウイルス感染した細胞を電子顕微鏡でみる11

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