富山大学医学部案内2021
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看護は,ヒューマンケアの理念に基づき,人が人間としての尊厳を維持することを支え,その人らしい健康な生活が送れるように支援することです。臨床看護学では,小児期,成人期,老年期等のライフステージの特徴をもとに,健康ニーズを把握し,疾病予防,その治療とケアを視野に入れた小児看護学,成人看護学,老年看護学,胎児期から生命の誕生の時期に至る妊娠や周産期の支援を学ぶ母性看護学,さらに心の健康に焦点をあてた精神看護学,地域社会・コミュニティを基盤とした地域看護学・在宅看護学から成り立っています。各看護学領域では,健康生活の保持増進や予防の時期,急激な健康破綻と回復の時期,慢性的な健康問題を伴う時期,人生の終末期において,身体の状態を基本としてどういう健康問題があるかを判断し,状態に応じた健康へのアプローチを行うために,講義,演習,実習という形態で,必要な知識と技術,そして健康に携わる者としての仁愛の精神にふさわしい態度を学びます。人間を多角的にとらえ「からだ」「こころ」「くらし」「いのち」4つの側面からアプローチします。人間は命ある限り,さまざまな病気や予期しない外傷に直面します。医療者としていかに患者様を救うのか,救えるのか,看護師としてしなければいけないことに自信が持てるように学びます。そのためにはまず人間の体の構造を学び,次にどのようにして病気になっていくのか,あるいは外傷を受けた場合はどのような状態になるのかを学びます。そして治療とケアの方法は何かを考えます。医学の授業を多く受けることでその輪郭ができ,実際の臨床の現場で役立つ看護師になれます。そして多職種連携の中で活躍できる医療者を目指します。基礎看護学では,看護の基礎となる「看護とは」について学び,看護の対象となる人々の生活過程を整える視点を学んでいきます。対象である人間の見つめ方,また看護における病気の見つめ方を学びましょう。本学では,“フロレンス・ナイチンゲール”の「看護覚え書」をもとに学んでいきます。ここには「人の健康について直接責任を負っている者に,考え方のヒントを与えたい」と述べられています。つまり,「看護とは」を学ぶにはヒントをもとにして自分自身が考えていくことを必要とします。次に,基本的な看護技術を学ぶ場では患者に合わせた安全・安楽な援助を修得できるように学生自身が工夫できるような指導を心掛けており,学生の可能性を伸ばしていきたいと思っています。体と同様に心を支える看護観をもとに,それを表現する“技”である看護技術を一人ひとりが統合できる学びを目指しています。そして,その土台を精神看護学ほかすべての臨床看護学領域につなげていきます。看護学の立場から「からだ」を支えたい…「こころ」を支えたい…GUIDANCE16

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