地域では家庭,学校,職場や施設等の場において,乳児から高齢者,健康な方,療養中の方,障がいのある方々が各々のライフサイクル,健康レベル,価値観や健康観に応じて生活をしています。地域看護学では,個々の多様性・個別性を重視した上で「人々がQOLを保ち生活をする」を目標に,コミュニティの健康課題の決定,当事者・家族自身による課題解決と支援の在り方を理解し,看護職に必要な理念や知識,技術を学習します。県・市町村の行政機関,訪問看護ステーションなどの協力も得て,疾病予防・健康増進に取り組むための個別・集団支援,継続看護,多職種連携,地区組織やボランティアの育成と協働,地域包括ケアシステムの構築について学びます。これが,看護学の基盤に立った活動とその人らしい生活を支えるケアにつながり,すべての看護活動領域での実践に基づく看護の創造を可能とします。人は命を次世代につなぐため,子どもを産み育てるという営みを続けています。母性看護学では,そのことを中心に女性の一生を通した健康支援の方法について学びます。女性が妊娠し,出産を経て子どもを育てるプロセスにおいて,母子の身体的健康はもちろん,母子の愛着形成も欠かすことができません。母子がより健康に過ごすための情緒的支援についても学習します。また近年の社会では,晩婚化に伴う高齢初産の増加,産科合併症の比率の上昇,不妊症,不育症などの健康問題や人工妊娠中絶,出生前診断,乳児虐待など生命や人権にかかわる倫理的問題も生じています。また月経前症候群,子宮内膜症,子宮がんなど女性特有の症状や病気で苦しむ若い世代も増えてきています。このような背景から,女性が自分自身の体を知り,生き生きと過ごすための支援に関しても学びます。助産学では,母子とその家族にとって生命の誕生という感動的な出会いを支援するため,母性看護学の知識を基にすべての妊産褥婦とその児に対して科学的根拠に基づいたケアの提供を目標として,専門性の高い知識と技術を学びます。基礎看護学人間科学母性看護学小児看護学老年看護学精神看護学成人看護学地域看護学Science&Art「くらし」を支えたい…そして,「いのち」をつなぎたい…17
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