富山大学医学部案内2021
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富山大学でお待ちしています医学薬学教育部東西統合医学専攻博士課程3年(産科婦人科)森田 恵子(2012年卒業)このパンフレットを手にとっているみなさんは,数ある医学部の中から富山大学への進学を考えてくださっているのだと思うと大変嬉しいです。私は埼玉県出身で富山には所縁はありませんでしたが,富山大学医学部医学科に合格させてもらい,富山にやってきました。学生時代は運動部と医療系サークルでの活動を盛んに行い,またバックパッカーとして頻繁に海外を旅していました。6年生の選択実習ではドイツで臨床実習を行いました。当時はさほど実感はありませんでしたが,今となっては本当に掛け替えのない経験をできたことを誇りに思います。大学卒業後,初期研修の2年間は富山大学附属病院を基幹として県内外の病院で研鑽を積み,その後東京都内の病院で3年間産婦人科の後期研修を行いました。医者のイメージと言えば,映画やテレビドラマで見るような判断力のあるかっこいい臨床医がすぐに浮かびますが,実際はそんなに華やかな世界ではありません。ガイドラインや過去の報告を元に,今現在自分が直面している患者さんにとってどのような治療がベストであるか,悩むことが多いです。このエビデンスはどこから作られているのだろう,経験的にはこの治療が良さそうだけれど本当にそれでいいのだろうか。日々の臨床の中で湧いてきた疑問への答えを求めるべく大学院への進学を決め,富山大学へ戻ってきました。基礎研究の世界は地味ですが非常に奥が深く,「新しい言語」の習得に似ています。一つのグラフを作るのにこれだけの時間と労力を要するのかと驚くことも多いですが,これまで自分が点で認識していたものが線で繋がり広がっていく感覚は,学問をしていくことの面白さだと感じています。さて,一度富山を離れて戻ってくると,富山はなんといいところなのでしょう。住みやすさ,ご飯の美味しさはもちろん,教育や臨床,研究のレベルを見ても他大学に引けをとりません。友人や先輩たちと話していても,富山大学で学べたことを誇りだと感じている人が多いです。富山大学だからこそできることがたくさんあり,また富山にいるからできないこともない,という風に感じています。医学部在籍中に基礎研究で学会発表をしたり,海外に臨床留学をすることもできます。アカデミックな面でもプライベートでも,充実した学生生活を送ることができますよ。みなさんぜひ,富山で医学を学びましょう。みなさんはどんな医師になりたいと思って,今この文章を読まれていますか?富山大学医学部出身者の中には,ドクターヘリに乗って現場に登場する医師もいれば,離島,過疎地で地域に従事する医師もいます。発展途上国で保健医療に従事する医師もいれば,基礎研究で世界をリードする医師もいます。様々な医師像があり,その思いに応えるために医学教育があります。では,富山大学ではどんな医学教育をしているのか,きっと興味があることと思います。一例になりますが,私も一教員として,医学生に講義を行っています。テーマは専門である小児救急や子どもの命を考える小児生命倫理です。子どもは元気であるのが当然なのですが,それが当然ではない世界が小児科医の世界です。子どもを救うというのは一体どういうことなのか,子どもの死に立ち会い,それをどう受け止め,家族へ対応するべきなのか,とても難しい話ですが講義で学生たちに問いかけ,考えて議論をし,まとめてもらっています。それらを見ていて富山大学の学生は大変頼もしいと感じています。ただし,勘違いをしないでほしいと思っていることは,与えられたものだけで成長する幅と,自ら学ぼうとすることで成長する幅というのは明らかに異なるということです。われわれはあくまで自ら学ぶきっかけを与えるだけです。多くの熱意ある教員たちが講義という形できっかけは与えますが,その先は学ぶ側の責任でもあります。医学部に入ることが目標にならないよう,今から漠然とした像で構わないので,医師像を持っておくことが重要です。目標を持って自ら研鑽する姿勢を持っていれば,その像を作り上げるためのきっかけはここ富山大学にたくさんあるはずです。一般的な医学教育以外のプログラムも多数整備され,基礎配属という基礎研究体験期間もあり,学年が進むと米国など海外の医療機関への実習プログラムも希望者には準備されており,様々な経験ができることと思います。このような取り組みが評価され,2018年3月に当大学の医学教育は「国際基準に適合」と日本医学教育評価機構から認定されました。これは国内で7番目,北陸では初の認定となります。富山大学で富山,日本,そして世界の病める人たちのために役立つ医師を目指しませんか。きっと,予想以上の時間が過ごせるはずです。私は県外出身者ですが,富山の景色と風土に魅了された一人です。晴れた日の立山連峰,雪が降った日の月光で浮かび上がる街並みなど富山の景色は何十年見ていても飽きることがなく,自然の雄大さを感じ,それが人の心を育むと肌で感じられます。そして,この地に住む人々を守りたい,そう思わせてくれる風土があるのです。AMAZINGTOYAMA富山大学附属病院小児科 講師種市 尋宙(1998年卒業)医学科先輩からのメッセージ20

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