理学部学部案内2016
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学科紹介/数学科4 数学と聞いて何を思いますか? ややこしい計算や沢山の公式を覚えなければならない苦手な教科でしょうか。はたまた「こんなことをやって何になるんだ?」と思う人もいるかもしれませんね。もし高校までの経験からそういったネガティブなイメージを抱いているとしたら、それはとても惜しいことだと思います。 大学では、数や数の世界そのものを研究する分野、現実世界での現象を数学化して理解する分野など、視野の広い様々な数学を目の当たりにします。そしてその世界はたくさんの驚くべき真実に埋め尽くされた、さながら星の輝きがどこまでも続く満天の星空のようです。これは決して大袈裟な表現ではありません。なぜなら私を含めた多くの人達を虜にする美しさがそこにはあるのですから。 数学は難しそうだからと下を向かず、ぜひ貴方にもこの富山で、美しく壮大な星空を見上げて欲しいと思います。大学院理工学教育部数学専攻 修士課程1年 数学科では、計算機に関する科目が開講されプログラム作成を実際に体験することができます。私は、その授業の中で学んだ微分方程式の計算機シミュレーションにおいて、方程式の単純さからは予想もつかないような複雑な動きをする解軌道(カオスと呼ばれる現象)を見たことをきっかけに、計算機シミュレーションに興味を持つようになりました。また、材料科学や生命科学などの分野でも、計算機シミュレーションに関わる数多くの未解決問題が存在し、新たな数学的手法の提案が求められていることを知り、そのような問題に挑戦してみたいと思い大学院に進学しました。大学院では、自由境界問題と呼ばれる問題に対する新しい計算手法を提案したいと思います。大学院理工学教育部数学専攻 修士課程2年 この分野では、幾何学、代数学、解析学などを中心に純粋数学の立場から教育・研究を行っています。ここでの教育目標は、学生諸君に純粋数学の世界の一端に触れ、抽象数学の美しさを味わい、厳密な理論の構成の仕方を身に付けてもらうことです。 この分野では次のような研究が行われています。(1) 空間図形の性質、曲線や曲面の概念を一般化した多様体などを調べる幾何学(抽象的幾何構造を見る数学的直観力の強化にコンピュータは役立つか?)。板書による伝統的な授業(2) 複素関数(複素数に対して複素数を対応させる関数)の性質を調べる複素関数論(華麗な姿を見せるフラクタルもこの理論に属しています)。(3) 数の概念を拡張して種々の視点から数の性質を調べる数論(ネット間での情報のやり取りを保証する暗号・認証にも使われます)。(4) 足し算や掛け算などの演算の性質を抽象的に扱うために利用される「群」「環」「体」などの性質を調べる代数学(歴史の古いこの分野の理論には美しさがあります)。数学図書室情報数理分野Mathematical Science of Information数理解析分野Mathematical Analysis この分野は、数理現象の数学的解析とその手法の開拓という視点を持つ教員によって構成されています。コンピュータ等を用い、数学的手法を駆使して数理現象を解析する能力を習得することがこの分野の教育目標です。 この分野では次のような研究が行われています。(1) 微分方程式の解の性質を研究する微分方程式論(微分方程式はさまざまな現象を記述する数学の言語です)。コンピュータを使った授業(2) 数理現象のモデル化とモデル方程式の数学的・数値的解析(現状では数値的にしか解けない複雑な現象も扱います)。(3) 偶然性に支配される現象を解析する確率論(近年のファイナンス理論の進展に確率論は大きく寄与しています)。(4) 代数的手法による情報の符号化理論(インターネット通信の発展にも必要です)。(5) 現代数学と工学システムの融合(新しい数学の可能性は開けるか?)。研究発表ラボラトリーResearch groups

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