富山大学理学部 学部案内2017
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学科紹介/生物学科10ラボラトリーResearch groupsInterview 生物は不変ではなく時間とともに変化します。その変化には、ひとつの個体内で見られるプロセスすなわち形態形成と、もっと長い時間をかけておこるプロセスすなわち系統進化があります。しかし、生物学の視点はプロセスの記述だけではありません。なぜ変化するのか、その仕組みについて探究するのも生物学の大きなテーマです。生体構造学分野ではこれらの面について総合的に研究し、生物の多様性の理解を目指しています。当分野に在籍する教員は植物・動物の形態学、発生学、分類学、系統進化学の専門家ですので、分野の第一の看板は細胞以上のマクロなレベルの系統進化的研究だといえるでしょう。しかし、研究の分野はこれだけに留まりません。その他の研究テーマを見てみると、植物の染色体を扱ったり、昆虫が示す複雑な社会性の成因や、水棲動物の繁殖様式の実態、また遺伝子情報を用いて動物の系統関係や進化を研究している人もいます。人間の活動による生物の大量絶滅が危惧される中、21世紀を迎えた今、生物多様性の正しい認識が我々には益々必要となっています。当分野では生物多様性を広くそして深く学ぶべく、教員と学生がともに日夜努力しています。 私たち人間や多くの動植物は、1個の受精卵から出発して、ある一定の姿・形を持った、多細胞から成る個体へと発生・成長します。動植物の個体を構成している細胞は、種々様々に分化して、それぞれ特定の役割を担っています。生体制御学分野では多種多様な細胞がどのようにまとまって個体として成り立っているのか、どのように協調しあっているのかについて多方面から研究し、理解しようと努めています。植物学を専攻する4名の教員はそれぞれ、細胞レベルと遺伝子レベルで成長のメカニズムや光合成や脂肪酸合成に関係する遺伝子の発現機構、葉・根などの器官分化を制御している遺伝子を解明しようとしています。動物学を専攻する5名の教員は形態学、生理学、生化学、分子生物学的手法を駆使しながら、光などの環境条件との関係、体内時計や睡眠制御機構、ホルモン作用を手がかりにして水・電解質代謝、脳ペプチドの役割などに関係する様々な調節機構について研究しています。生命科学の世紀になるといわれる21世紀には、今まで以上に多様な生理現象についての理解が求められるでしょう。当分野の教員一同は、次代を担う生物学を志す学生諸君と共に積極的な教育・研究活動を展開しています。卒業論文発表会生体構造学実験野外実習臨海実習生体制御学実験基礎生物学セミナー生体制御学分野Regulatory Biology生体構造学分野Structural Biology 「生物を学びたい」そんなやる気あふれる貴方!自分の知識を深められる可能性は無限大!恵まれた環境を最大限に活かし、一緒に生物の世界を学んでみませんか? 富山大学は、大自然に恵まれた大学です。山や川、そして日本海という雄大な海に囲まれ生物を学ぶには最高の立地であるといえます。生物学科では、1年次には一般教養を中心に学び、2年時からは恵まれた環境を活かし、講義や実験など、生物と直に触れられる機会がたくさん増えてきます。生態学や進化学といったダイナミックな分野から、分子生物学や生化学のようなミクロな分野まで生物学に関する幅広い知識を身につけることができます。4年次からは各先生の研究室に配属され、先生や仲間たちと共に研究を行います。研究分野は2つに分かれており、それぞれの分野でさまざまな視点から生物について研究が行われています。 私の所属する研究室では主に富山県内に生息する魚類を研究対象としており、その中で私は外来生物であるタイリクバラタナゴを扱っています。生態調査や解剖を行うことで、タナゴ類の生態解明、在来生物の保護・保全に活かせるよう研究を進めています。研究室内の活動だけでなく、実際にフィールドに出て調査を行ったり、氷見市連携研究室での活動を行ったりと毎日が充実しています。上手くいかないこともありますが、先生や先輩方に指導してもらい、日々試行錯誤しながら研究に励んでいます。 皆さんもぜひ、生物学科で一緒に学び、生物の神秘に迫りましょう。生物学科4年大学院理工学教育部生物学専攻修士課程1年 生物学科は動物や植物など生き物を対象にあらゆる疑問を追及し、基本的な原理を解き明かすことを目的に研究活動をする学科です。それぞれの分野の専門家である先生方の講義は、生物学の基礎を一からしっかり学ぶことができるとともに科学的な考え方を養うことができ、何よりも好奇心をくすぐられる興味深いものばかりです。2年生以降になると専門的な講義や実習が増え、より深く生物学の面白さを味わえます。4年生になると研究室に所属し、人生初の研究活動に取り組みます。 私たちの研究室ではPACAPという神経ペプチドについて研究をしています。PACAPは進化の過程で高度に保存されており、生存するうえで必要不可欠な生理機能を有していると考えられています。PACAPが有する様々な機能の中で、私は摂食制御における影響を脊椎動物のモデル生物であるゼブラフィッシュを用いて研究しています。 日々の研究では様々な問題や予想外の結果に直面することがありますが、先生方からの熱心な指導や研究室の仲間の支えによって課題を乗り越えた時には必ず新たな発見が待っています。私たちは好奇心と探求心あふれる皆さんを心待ちにしています。興味のある方はぜひ研究室に足を運んでみてくださいね。

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