富山大学理学部 学部案内2017
15/28

学科紹介/生物圏環境科学科14ラボラトリーResearch groupsInterview河川の流量測定 人間活動の規模の拡大と多様化にともない、地球温暖化ガスの放出や大気汚染、水質汚染、土壌汚染などの多様な環境問題が顕在化したため、環境を正しく評価・修復する手段や思考がますます必要とされています。環境化学計測分野では、化学の側面から環境問題へアプローチし、水や土壌に含まれる微量有害成分や環境汚染化学物質の簡便迅速な分析方法を開発し、富山県の土壌や河川水、富山湾の海水の環境を調査しています。また、排水中の有害成分を除去するための基礎的な研究も行っています。さらに、微量元素や安定同位体比を用いた、陸域と海域の環境動態解明に関する研究を通して地球規模の環境問題にも取り組んでいます。 また、富山県内の豊富な地熱資源の有効利用を探るために地下水・温泉水の分析や、我が国周辺海域の海底熱水鉱床探査技術の開発を通して、環境に配慮したエネルギー・鉱物資源の開発を目指し、持続的な経済発展にも貢献いたします。定性分析実験環境化学計測分野Environmental and Analytical Chemistry富山湾海水の採取野生動物(タヌキ)の解剖 最初の生命は、今から約35億年以上も前、地球の歴史の比較的早い時期に誕生したと考えられています。生物はそれ以降、地球環境の形成に多大な影響を及ぼしてきましたが、生物自身もまた、環境に適応して生きていくための精巧なシステムを進化させてきました。 生物圏機能分野では、生物と環境との相互作用についての理解を深めるため、生物機能の仕組みについて、細胞レベルから生物集団レベルまでの幅広い研究を行っています。例えば、生物の環境ストレスに対する防御機構の解明や植物が環境の変化をどのように認識しているのかについての研究、大気・河川水・海洋・地下水中の微生物群集構造についての研究、微生物を用いた環境水の汚染評価・修復方法についての研究、植物と訪花昆虫の関係についての研究、立山における地球環境変動の影響についての研究などを行っています。哺乳動物や寄生虫などの野生動物の生態や保全についても、研究を進めています。室内実験の様子生物圏機能分野Environmental Biology立山での野外実習 生物圏環境科学科は、分析化学、生物学、地球科学などの様々な分野から、自然環境について学んでいます。1年生のうちは、専門科目よりも教養科目中心となりますが、学年が上がるにつれ、専門科目が中心となります。 4年生からは研究室へ配属され、1年間を通して研究を行います。この1年間は、自分の研究課題に対してどのように取り組むかということが重要になります。研究は、必ずしも答えが用意されている訳ではありません。自分で仮説を立て、それを確かめるということが大切になります。時には、思うような成果が出なかったり、失敗したりすることがあると思います。しかし、その失敗からも学ぶことは多く、「なぜうまくいかないのか?」と考える事が、次のステップへ繋がることもあります。そうした時間を経て、自分の思うような成果にたどり着く事が出来たときには、とても大きな達成感があります。 大学生活の4年間は、授業以外でも、多くの人との関わりから、学ぶことが多いと思います。また、自由な時間もたくさんあるので、社会勉強の一環として、アルバイトに励んだり、自分が挑戦してみたいことに取り組む絶好の機会だと思います。大学では、充実した楽しい学生生活を送ってください。大学院理工学教育部生物圏環境科学専攻修士課程2年大学院理工学教育部生物圏環境科学専攻修士課程2年 私たちの身のまわりには、様々な「環境問題」が存在しています。そんな「環境問題」を生物・化学・地球科学などの幅広い分野からアプローチし、研究を続けているのが生物圏環境科です。 1年生では、専門的な講義だけでなく、一般教養などの講義も受講することが多く、幅広い知識を身に付けることができます。2、3年生では、学生実験を通して、河川水中や土壌中の汚染物質の分析、細菌の培養、ウニの発生などの観察を行い、様々な観点から「環境科学」について議論していきます。4年生からは研究室に配属され、各自のテーマに沿って研究を進めていく日々。常に実験結果の予想を立てながら、よりよい実験方法の探索を行っています。時には思うような結果が得られず、悩む日々もありますが、「なぜ?」「どうして?」という疑問を常に持ち続ける姿勢を忘れずに、試行錯誤を繰り返しながら失敗を自信に変えていく…このことが何よりも研究の面白いところだと思います。 大学は「自ら学ぶ場」であり、自分のやる気次第で様々なことに積極的に挑戦できる場がたくさんあります。勉強や研究は勿論、サークル活動、アルバイト、留学など、「ここでしか学べない」「ここでしか経験できない」ことに積極的にチャレンジし、濃く、充実した大学生活を送って下さい。

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る