富山大学理学部案内
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学科紹介/地球科学科12地球圏物理学分野Geosphere Physics地球ダイナミクス分野Geodynamics地球進化学分野Geological ScienceラボラトリーResearch groups奥田:地球科学科は、地球内部から大気圏を越えた磁気圏までを領域として、ミクロでマクロな幅広い考え方で地球を解明する壮大さが魅力だと思うな。これほど分野に富んだ学科は無いし、カリキュラムを経ていく中で、自分が一番興味を持った分野を選択できることもいいね。三宅:そうだね。私は高校時代に地学を学んでいなかったから、最初はついていけるかすごく不安だった。でも、専門科目の授業は、一から説明してくれるものばかりだったし、わからないことは先生に質問すれば丁寧に教えてくださるから本当に助かった。そもそも、高校時代に地学を学んでいた人は2, 3人しかいなかったね。奥田:確かにその通りだね。最初は地球について全然知らないところからスタートして、様々な分野から地球を見ていき、専門知識をどんどん深めていく過程がとてもいいね。三宅さんは好きな授業とかある?三宅:私はやっぱり実習と巡検だね!実際にフィールドに出て、見て、触れて、理解することがすごく楽しかった。フィールドでの授業は、座学で学んだ知識を実物で確認できるのがミソだね。行ったことのない土地にも行けるし、フィールドで身につけたスキルが日常でも役立つし、より自分が成長したと思えたよ。それに、入学してすぐにあった実習がきっかけで同期や先輩と仲良くなれたなぁ。このことからも、地球科は、男女や先輩後輩に限らず仲の良い学科だと感じるよ。これを読んでいる人たちに少しでも地球科の魅力が伝われば良いね。地球科学科 3年 地球科学の魅力は実際に目で見て肌で触れることができることだと思います。野外に出向いて実際に自分の目で確認することで、講義で学んだことが実際に地球上で起きており、私たちの見る景色を作っていると実感することができます。 富山は水深1000mの深い海から3000m級の高い山々が連なる北アルプスまで非常に変化に富んだ地形をしており、また季節の変化が豊かで、日本で地球科学を学ぶ上で富山以上に適した場所はありません。地球科学科はこうした環境を最大限生かしたカリキュラムとなっています。 私は気象に興味があり大学院で降雪の研究をしています。大学院に入り学会に出る機会が増えることで、それまで研究してきたことを日本や世界で同じ分野を研究している多くの人に知ってもらうことができるようになりました。その道に精通している先生や他大学の学生と意見交換することはとても刺激的で、自分の知識や考え方の幅が広がりとても充実感を感じます。研究はプログラミングで学んだことを生かしてデータ解析を中心行っていますが、時々外に出たり天気図とにらめっこしたりして富山のフェーン現象や冬の大雪などの天気の変化の豊かさを楽しんでいます。大学院理工学教育部地球科学専攻修士課程1年 この分野ではおもに三つの対象について研究しています。一つは「地磁気」です。地球のコアで生成される地磁気は、向きや強さを絶えず変化させています。我々は、岩石や堆積物に記録された残留磁気(地磁気の化石)や観測を利用して、地磁気の変動を研究しています。プレート運動や気候・環境変動、地下資源、考古学への応用等も研究テーマとなっています。 二つめは「雪と氷」の科学です。雪や氷結晶の物理的性質・成長といった基礎研究から、積雪から探る大気環境変動まで研究は多岐にわたります。とくに、北アルプスの積雪・雪渓など、富山の地域性を活かした研究や、衛星データを用いた雪氷変動の研究をおこなっています。 三つめは「海洋」です。地球環境の視点から富山湾や日本海等の日本の周りの海の構造がどのようになっており、どのように変動しているのかを観測データ解析や数値シミュレーションによって解明します。富山湾に特有の「寄り回り波」のコンピュータシミュレーション結果立山室堂平での積雪調査 地球の地下深くから頭の上の大気まで、地球全体を対象に、現在進行形のダイナミックな変動現象を研究しています。調査、観測、実験、データ解析、数値シミュレーションなど、研究対象に応じて様々な手法が用いられています。 「地震・火山とプレート運動」に関わるテーマとしては、活断層の調査、地中温度計測、地殻変動の観測やモデル化(数値シミュレーションを含む)、岩石の物理的性質に関する実験などが挙げられます。また、最新の画像処理技術を用いた地形計測や模型実験にも力を入れています。 「気象」の研究としては、その整備された観測網や観測データ、数値モデルなどを駆使して、気候変動や異常気象を起こすメカニズムの解明、雲や微粒子(エアロゾル)が地球温暖化に与える気候影響の解明などに取り組んでいます。高圧装置を用いて地球内部の岩石の性質を研究立山浄土山での雲や大気中の微粒子(エアロゾル)の観測 地表にはマントルの断片や40億年も昔の大陸の一部が露出しています。ある種の岩石は地球のコア近くの情報をもたらします。また、地層や化石からは過去のプレート運動や生物圏を含めた古環境が復元できます。さらに、過去の火山噴出物は将来の噴火活動を予測するための鍵を握っています。これら現在の地表で見られる「岩石と鉱物」、「地層と化石」などを手がかりとして、地球内部の様子や動き、地球の成り立ち(地球史)などを研究しています。 この分野では、フィールドワークを最重視し、野外から多くのデータとアイデアを得る能力を培う教育に力を入れています。ここで培われる能力は、物理学や化学など他のいかなる学問分野でも習得できない能力であり、就職先で大いに役立っています。男体火山、山頂火口内での地質調査モンゴルでの地質調査

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