富山大学理学部案内
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学科紹介/生物圏環境科学科14生物圏機能分野Environmental Biology環境化学計測分野Environmental and Analytical ChemistryラボラトリーResearch groups 生物圏環境科学科では、生物分野・化学分野・地球科学分野など幅広い知識を身につけ、様々な方面から「環境問題」をテーマに研究に取り組んでいます。 1年生のころは専門的な授業は少なく、一般教養の授業が多くなっており、2年、3年生に進級してからは専門科目の授業が徐々に増え、学生実験が始まります。学生実験では土壌の分析や河川水の分析、哺乳動物の解剖、植物や細菌を用いた実験を行います。4年生になってからはそれぞれ研究室に配属され、自分のしたい研究について深く実験を行っていきます。研究テーマに対して、自分で仮説を立て、それを確かめるためにたくさんの実験を行っていかなければいけません。しかし、実験には失敗もつきもので、すべてがうまくいくわけではありません。そういったうまくいかない結果も含め、試行錯誤しながら成果を出さなければいけませんが、それが研究の醍醐味であり楽しいところでもあります。 大学生生活は授業や研究ばかりでなく、サークル活動やアルバイト、学外の人との交流など様々な関りがあり、多くのことを学ぶ機会があります。そういった機会にはぜひ、積極的に参加し多くのことを学んで欲しいと思います。大学では多くのことを経験し、充実した学生生活を送ってください。生物圏環境科学科4年生物圏環境科学科2年 生物圏環境科学科は、分析化学、生物学、地球科学などあらゆる分野の視点から、私たちを取り巻く自然環境について学び、議論しています。1年生では、一般教養を身に付ける教養科目を主に受講しますが、2年生になると専門科目が増え、学生実験も始まります。実験では、実際に川などに行き、水や土壌を採取し、その試料に含まれる成分濃度を測ったり、汚染物質がどの程度含まれているのかなどを調査します。また、海や川にどのようなプランクトンがいるのか観察し、池、空気中、水道水、食品から採取した細菌の培養も行います。 講義は座学だけではなく、長期休みには山や海、温泉、動物園、植物園など様々な場所で野外実習が行われます。海洋実習では、船に乗り、堆積物やプランクトンの採取、ロープワークなどを体験しました。深さ1000mの水の冷たさを肌で触れて実感できたことも、貴重な経験だったと思います。立山から日本海をホームフィールドとする、非常に恵まれた環境に位置している富山大学だからこそ、経験できることがたくさんあります。 大学生活は、自分のやりたいことや挑戦したいことを実現できる絶好の機会です。今ここでしか経験できない、学べないことに積極的に取り組んで学生生活を楽しんでください。河川の流量測定 人間活動の規模の拡大と多様化にともない、地球温暖化ガスの放出や大気汚染、水質汚染、土壌汚染などの多様な環境問題が顕在化したため、環境を正しく評価・修復する手段や思考がますます必要とされています。環境化学計測分野では、化学の側面から環境問題へアプローチし、水や土壌に含まれる微量有害成分や環境汚染化学物質の簡便迅速な分析方法を開発し、富山県の土壌や河川水、富山湾の海水の環境を調査しています。また、排水中の有害成分を除去するための基礎的な研究も行っています。さらに、微量元素や安定同位体比を用いた、陸域と海域の環境動態解明に関する研究を通して地球規模の環境問題にも取り組んでいます。 また、富山県内の豊富な地熱資源の有効利用を探るために地下水・温泉水の分析や、我が国周辺海域の海底熱水鉱床探査技術の開発を通して、環境に配慮したエネルギー・鉱物資源の開発を目指し、持続的な経済発展にも貢献いたします。定性分析実験富山湾海水の採取野生動物(タヌキ)の解剖 最初の生命は、今から約35億年以上も前、地球の歴史の比較的早い時期に誕生したと考えられています。生物はそれ以降、地球環境の形成に多大な影響を及ぼしてきましたが、生物自身もまた、環境に適応して生きていくための精巧なシステムを進化させてきました。 生物圏機能分野では、生物と環境との相互作用についての理解を深めるため、生物機能の仕組みについて、細胞レベルから生物集団レベルまでの幅広い研究を行っています。例えば、生物の環境ストレスに対する防御機構の解明や植物が環境の変化をどのように認識しているのかについての研究、大気・河川水・海洋・地下水中の微生物群集構造についての研究、微生物を用いた環境水の汚染評価・修復方法についての研究、植物と訪花昆虫の関係についての研究、立山における地球環境変動の影響についての研究などを行っています。哺乳動物や寄生虫などの野生動物の生態や保全についても、研究を進めています。室内実験の様子立山での野外実習

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