富山大学理学部案内2021
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 富山大学生物学科では、遺伝学、細胞学、生態学や進化学など、幅広い分野の研究が行われており、学生である自分たちも日々それらに触れ、学ぶことができます。 ではなぜ、富山大学ではこのように様々な研究が行われているのでしょうか?その理由の一つに、富山県の充実したフィールドがあります。富山県には、最高峰3,015mを誇る立山連峰や、水深1,000mを超える富山湾といった雄大な自然が広がっており、陸海における最高のフィールドが揃っていると言えます。これらの自然は、生物学を学んでいくうえで、尽きることのない疑問や興味を湧き立たせてくれます。2年生の夏にはこれらの地へと赴く植物、昆虫、臨海の野外実習が行われるので、実際に自分の肌で富山の自然を体験して頂きたいです。 大学での学びは、単なる講義だけにとどまりません。生物学科では、多くの実験やフィールドワークを通して、実物に触れることの楽しさを学ぶことができます。今回の話を通して、少しでも富山大学生物学科の魅力を伝えることができたら幸いです。生物学科4年  私たちは幼いころから生き物に興味があり、生物学科に進学しました。1年の講義のほとんどが生物以外の基礎科目なので、文系分野にも触れることができ、自分の視野を広げる良い機会になりました。2、3年では専門科目の講義を受け、4年生の頃に興味を持った分野で卒業論文研究を行います。 私たちは、時間生物学の研究室に所属しています。当研究室では、動物を扱った行動リズムの解析や、細胞レベルでの生理的な研究など様々な実験を行っています。現在、研究室のテーマの一つとして、昼行性や夜行性などの行動の多様性がどのように生じるかを解明するために、昼行性のラットの仲間を扱っています。この動物はハムスターに似ていて、餌を食べる姿や走り回る様子は何時間でも見ていられるほど可愛いです。 高校生物では物足りない皆さん、研究を始めるとみんなが分野の最先端です。授業では教えてくれないあなたの疑問を自分の手で解き明かしてみませんか。大学院理工学教育部 生物学専攻 修士課程2年ラボラトリーResearch groups学科紹介/生物学科10 生物は不変ではなく時間とともに変化します。その変化には、ひとつの個体内で見られるプロセスすなわち形態形成と、もっと長い時間をかけておこるプロセスすなわち系統進化があります。しかし、生物学の視点はプロセスの記述だけではありません。なぜ変化するのか、その仕組みについて探究するのも生物学の大きなテーマです。生体構造学分野ではこれらの面について総合的に研究し、生物の多様性の理解を目指しています。当分野に在籍する教員は植物・動物の形態学、発生学、分類学、系統進化学の専門家ですので、分野の第一の看板は細胞以上のマクロなレベルの系統進化的研究だといえるでしょう。しかし、研究の分野はこれだけに留まりません。その他の研究テーマを見てみると、植物の染色体を扱ったり、昆虫が示す複雑な社会性の成因や、水棲動物の繁殖様式の 私たち人間や多くの動植物は、1個の受精卵から出発して、ある一定の姿・形を持った、多細胞から成る個体へと発生・成長します。動植物の個体を構成している細胞は、種々様々に分化して、それぞれ特定の役割を担っています。生体制御学分野では多種多様な細胞がどのようにまとまって個体として成り立っているのか、どのように協調しあっているのかについて多方面から研究し、理解しようと努めています。植物学を専攻する4名の教員はそれぞれ、細胞レベルと遺伝子レベルで成長のメカニズムや光合成や脂肪酸合成に関係する遺伝子の発現機構、葉・根などの器官分化を制御している遺伝子を解明しようとしています。動物学を専攻する6名の教員は形態学、生理学、生化学、分子生物学的手法を駆使しながら、光などの環境条件との関係、体内時計や睡眠制御機構、ホルモ実態、また遺伝子情報を用いて動物の系統関係や進化を研究している人もいます。人間の活動による生物の大量絶滅が危惧される中、21世紀を迎えた今、生物多様性の正しい認識が我々には益々必要となっています。当分野では生物多様性を広くそして深く学ぶべく、教員と学生がともに日夜努力しています。ン作用を手がかりにして水・電解質代謝、脳ペプチドの役割などに関係する様々な調節機構について研究しています。生命科学の世紀になるといわれる21世紀には、今まで以上に多様な生理現象についての理解が求められるでしょう。当分野の教員一同は、次代を担う生物学を志す学生諸君と共に積極的な教育・研究活動を展開しています。■生体構造学分野 Structural Biology■生体制御学分野 Regulatory Biology野外実習卒業論文発表会生体構造学実験基礎生物学セミナー臨海実習生体制御学実験先輩からのメッセージ

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