理学部案内2023
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 この分野では、幾何学、代数学、解析学などを中心に純粋数学の立場から教育・研究を行っています。ここでの教育目標は、学生諸君に純粋数学の世界の一端に触れ、抽象数学の美しさを味わい、厳密な理論の構成の仕方を身に付けてもらうことです。 数理解析分野では次のような研究が行われています。①空間図形の性質、曲線や曲面の概念を一般化した多様体などを調べる幾何学(抽象的幾何構造を見る数学的直観力の強化にコンピュータは役立つか?)。②複素関数(複素数に対して複素数を対応させる関数)の性質を調べる複素関数論(華麗な姿を見せるフラクタルもこの理論に属しています)。③数の概念を拡張して種々の視点から数の性質を調べる数論(ネット間での情報のやり取りを保証する暗号・認証にも使われます)。④足し算や掛け算などの演算の性質を抽象的に扱うために利用される「群」「環」「体」などの性質を調べる代数学(歴史の古いこの分野の理論には美しさがあります)。数理解析分野 Mathematical Analysis板書による授業数学図書室 この分野は、数理現象の数学的解析とその手法の開拓という視点を持つ教員によって構成されています。コンピュータ等を用い、数学的手法を駆使して数理現象を解析する能力を習得することがこの分野の教育目標です。 情報数理分野では次のような研究が行われています。①微分方程式の解の性質を研究する微分方程式論(微分方程式はさまざまな現象を記述する数学の言語です)。②数理現象のモデル化とモデル方程式の数学的・数値的解析(現状では数値的にしか解けない複雑な現象も扱います)。③偶然性に支配される現象を解析する確率論(近年のファイナンス理論の進展に確率論は大きく寄与しています)。④コンピュータを使った「群」「環」「体」などの代数系の構造を調べる研究(とくに量子代数と呼ばれる近年に発見された新しい代数系の研究をコンピュータによるグレブナー法で解析します)。情報数理分野 Mathematical Science of Informationコンピュータを使った授業修士論文発表会ラボラトリー先輩からのメッセージ数学科4年 唐突ですが、「大学数学」とはどのようなものを想像していらっしゃるでしょうか?計算が難解になった数学、または高校数学の延長線上に存在するのもの、といったところでしょうか。 自分は小学生から中学生に上がった時に「算数」が「数学」に変わったように、高校での「数学」と大学での「数学」は名称を変えた方がいいくらい別物だと日々感じています。計算中心の議論が証明中心になり、当たり前に使えていたものにも証明が必要になるなど、証明することの重要さが増しています。また、抽象度も増し、何を議論しているのかわからなくなることが多々あります。本音を申しますと、とても難しいです。 しかし、逆に考えると、計算力だけでなく論理的思考力、発想力の重要性が増し、そこに面白みを見出すことができるのも事実です。証明ができた時の喜びは、計算の答えがあっていた時のそれと同等か、それ以上です。 数学が好きな方はもちろん、計算より証明を完成させることに興味がある、論理的思考力を養いたいという方、富山大学理学部数学科でお待ちしています!理工学研究科数理情報学プログラム 修士課程1年 数学科に入学すると、最初は大学数学の基礎となる微分積分学、線形代数学、集合論、位相空間論を学びます。その後はそれまでに学んだ内容を土台として、数学の3大分野である解析学、幾何学、代数学を学ぶことになります。4年生になると少人数制のゼミナールが始まり、各々が興味を持った分野についてより深く学ぶことができます。 大学数学が高校数学と大きく異なる点は、計算よりも証明が重視されるという所です。高校までは、直感的に当然成り立つと思われる定理を証明せずに用いることがありましたが、大学ではそのような定理に厳密な証明を与えることになります。また、大学の教科書は証明の中に省かれている部分があったりするため、様々な文献を調べながら学習を進める必要があり、教科書1ページを理解するのに1週間かかることもあります。その代わり、理解できた時には大きな達成感が得られます。 数学科は、分からない所が理解できるようになるまで根気強く努力し、理解した時の喜びを感じたい人に特におすすめです。もっと数学科を知る →06学科紹介/数学科

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