社会医学とは,疾病につながる背景にも視野を拡げ,社会全体の健康水準の向上を目指す医学です。例えば,ある病気についてどれほどの人がかかるのだろうか,どのようなことがその予防になるのだろうか,社会の仕組みとして解決できることがないだろうかということなどが含まれます。新型コロナウイルスの流行を通して,社会医学の重要性が認識されています。具体的には,疫学,予防医学,医学統計学,公衆衛生学,救急災害医学,病院経営学,法医学などについて講義と実習形式で学修します。地域社会との密接な連携や協働は極めて大切なため,行政機関や医師会,地域病院等の協力も得て,保健・医療・福祉・介護のシステムや連携体制を体系的に理解します。これらは3年次後期に行われ,地域の実情に合った保健医療の実践に必要な知識と技術を修得します。基礎医学,臨床医学,社会医学を学修したあとの4年次生の半ばには,臨床実習に参加するために必要な試験があります。この試験は全国のどこの医学部でも行われるもので,臨床実習へ進むにあたり十分な知識・技術・態度を修得しているかを全国共用試験(コンピュータによる試験(CBT)と客観的臨床能力試験(OSCE))によって評価します。全国共用試験に合格すると,4年次生の後期からの臨床実習が始まります。臨床実習は見学ではなく,実際に診療に参加することが求められます。富山大学附属病院の全診療科を1年間かけてローテートしながら,技術を修得し,プロフェッショナリズムを磨き,それまでの学修内容の理解を深め整理を行っていきます。さらにその後の半年は,発展臨床実習2023年度 臨床実習生(医学)証授与式した実習形式として,希望する診療科,地域の医療機関,海外の施設で実習を行う選択制臨床実習を行います。つまり,合計約1年半をかけて実習が行われます。その後は,卒業試験を経て,例年2月に行われる医師国家試験に向けての準備を進めていくこととなります。現代の医療を支えるものは科学的根拠です。科学的根拠を生み出すには研究が必要となりますが,本学では在学中に研究を行う体制も整っています。2年次の「研究室配属」では,研究室に2か月ほど所属して研究を行い,英語文献を読む力や,データの収集・分析力,研究発表能力を養います。より研究志向を持つ学生は,6年間のカリキュラムを経て医師免許取得までには,あくなき向上心とたゆまぬ努力が不可欠です。そのため,本学は学生を支援する様々な環境を整えています。たとえば,24時間利用可能な図書館は,多くの学生が昼夜勉学に励む場所として利用されています。カリキュラムに係る会議は,学生と教員で話し合いながら教育の改善を図っています。また,クラス担任制度とグループ担任制度があります。前者は学年に3名の担当教員が配置され,必要に応じて修学や生活面での面談などを行っています。後者は1年次生~6年次生までの学生からなる小グループに担当教員がつき,時々集まって話をすることで,下級生が先輩や教員の話を聞いたりアドバイスをもらったりすることができます。お互いに支えあいながら前進していく体制があることは,本学の医学教育の特徴です。研究医養成プログラムにおける研究風景「研究医養成プログラム」を選択し,在学期間を計画的に使って研究を行います。通常の講義・実習以外の時間で取り組むため,試験勉強や課外活動などと両立しながら,最終的には学会発表や論文公表を行います。このプログラムを修了すると,本学の大学院博士課程(4年制)を3年間に短縮して博士号を取得することもでき,キャリアアップにつながります。7社会医学教育(3年次後期~4年次前期)診療参加型臨床実習(4年次後期~6年次前期)研究教育(1年次~6年次)総合的な学修支援
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