新型コロナウイルスを感染させたハムスターの肺Science 誌に掲載されたトップジャーナルの脳科学研究成果医学部の使命は,優れた医療人を育てるだけでなく,医学の未来を切り拓く研究者を育成することにもあります。私たちの体の仕組みや病気が起こる原因を解き明かし,治療法や予防法を生み出していくには,基礎医学の研究が欠かせません。医学の進歩は,多くの人に希望をもたらし,社会全体の幸福にもつながります。こうした基礎医学の分野では,さまざまな専門性を持つ研究者が集まり,独自性の高い研究や分野を超えた共同研究が活発に行われています。新しい発見を目指す基礎研究には,確かなデータと多角的な検証が必要です。富山大学杉谷キャンパスには,最先端の分析装置や実験設備が整い,分子や遺伝子の解析,動物実験など幅広い研究が可能です。たとえば,分子の構造や性質を詳しく調べたり,遺伝子の情報を解析したり,微量な物質を検出するための設備も充実しています。動物実験施設も多目的に活用され,行動観察やゲノム編集,感染症研究など多様な研究が行われています。こうした環境のもと,富山大学では国際的にも高く評価される研究成果が生まれています。研究分野の連携も盛んで,たとえば「アイドリング脳科学研究センター」では睡眠や無意識状態の脳の働きを,「先端抗体医薬開発センター」では感染症の治療や診断に役立つ抗体の研究を進めています。薬学部や和漢医薬学総合研究所,さらには工学部や理学部など他学部との共同研究も活発です。データサイエンスや AI など新しい分野との連携も進 み,基 礎 医学の可能性はますます広がっています。基礎医学は,未知の病気や新たな課題に立ち向かうための強力な武器です。新型コロナウイルス感染症への対応では,富山大学が PCR 検査の支援やワクチン・免疫研究で大きな役割を果たし,その成果は国内外で高く評価されました。2023 年には高度な感染症研究が可能な実験施設も整備され,日本海側有数の感染症研究拠点となっています。基礎医学の発見が臨床現場で活かされ,社会の課題解決につながることが医学研究の理想です。富山大学では,基礎医学と臨床医学が密接に連携し,現場で見つ10G U I D A N C E時代に柔軟に対応する基礎医学医療と基礎医学基礎医学を支える環境基礎医学の立場から
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