講座の沿革研究活動教育活動当講座は本学開学時に千葉大学から片山喬教授が着任し、開講した。1996年4月に布施秀樹教授が第2代教授として就任し、19年間に渡り教室を主宰した。2015年11月からは札幌医科大学から北村寛が第3代教授として就任、現在に至っている。教授交代期に一時的な医局員不足の状況に陥ったが、2017年以降着実に入局者が増えている。現在富山大学を基幹施設として、富山県済生会富山病院、厚生連高岡病院、高岡市民病院、黒部市民病院、市立砺波総合病院、上越総合病院、あさひ総合病院、厚生連滑川病院、久美愛厚生病院、帝京大学医学部附属病院からなる富山大学泌尿器科専門研修プログラムで研鑽を積む体制が構築され、若手・中堅が成長し、地域医療や専門的医療に貢献している。片山教授および布施教授は雄性生殖生理学や性機能障害を中心としたアンドロロジー研究に尽力し、多くの業績を残した。北村就任後は腫瘍免疫学、がん幹細胞、臨床腫瘍学に関する研究が主軸となり、大学院生博士課程2名、修士課程2名、留学生1名が研究を行っている。さらに札幌医大から西山直隆准教授が着任し、がんエビゲノム研究が導入され、慶應義塾大学医学部病理学教室・金井弥栄教授との共同研究が展開されている。これと関連して、他大学や本学関連病院と泌尿器科広域コンソーシアムを形成し、バイオバンクを構築、管理して泌尿器がんの病態解明やバイオマーカー開発、創薬標的同定を目指す共同研究を実践している。さらに北村および西山は2018年に設立された国内の大学やがんセンターを中心とした67施設からなる日本泌尿器科腫瘍研究グループ(JUOG,JapanUrologicalOncologyGroup)のそれぞれ代表および事務局を務め、がん臨床研究を推進した。そして北村はJCOG(JapanClinicalOncologyGroup)泌尿器科腫瘍グループ代表に就任している。またがん薬物療法の国際臨床試験にも多数参加し、共著者として2編のNewEnglandJournalMedicineへの論文発表、国内のみならず海外の診療ガイドラインの執筆、発表を行っている。2015年11月から2024年12月までの論文数は218編(うち英文論文121編)である。当講座で獲得した2015年以降の競争的研究費は、『尿路上皮癌に対する新規化学免疫療法の確立(科研費基盤C、研究代表者:北村寛)』、『CpGアイランドメチル化形質陽性腎細胞がんの個別化治療開発(科研費基盤C、研究代表者:北村寛)』、『CIMP陽性腎細胞がんに対するオーロラキナーゼ阻害薬治療確立のための前臨床研究(科研費基盤C、研究代表者:北村寛)』、『化学療法抵抗性を有する転移性膀胱癌に対するエピジェネティクス治療確立(科研費基盤C、研究代表者:西山直隆)』、『尿路上皮がんに対する新規エビゲノム解析による治療効果予測バイオマーカー開発(科研費基盤C、研究代表者:西山直隆)』、『免疫ブースト効果によるがんの放射線治療効果向上の試み(科研費基盤C、研究代表者:渡部明彦)』であり、AMED橋渡し研究「高速液体クロマトグラフィーによるDNAメチル化率測定に基づく上部尿路がんの非侵襲的診断実用化」を主たる研究分担施設として獲得している。2016年以降、日本泌尿器科学会専門医12名、同指導医7名、日本泌尿器科学会/日本泌尿器内視鏡ロボティクス学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医5名、日本内視鏡外科学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医5名、ダビンチサージカルシステムcertifieddoctor9名、日本泌尿器科学会/日本泌尿器内視鏡ロボティクス学会泌尿器ロボット支援手術プロクター(ダビンチサージカルシステム)6名となり(2024年6月現在)、毎年多くの若手・中堅医師が新たな資格を取得している。大学のみならず関連基幹病院においても、泌尿器科診療の基本から最新技術までを習得する教育体制が整備されている。(北村 寛)88 腎泌尿器科学講座
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