沿革教育研究診療WHO伝統医学協力センター富山医科薬科大学の建学の理念である「東西医学の融合」と「医学薬学の有機的連携」を具現するため、1979年(昭和54年)8月、附属病院に和漢診療室が院内処置として設置された。同年10月、附属病院開院とともに、国立大学では初めての漢方診療を専門とする外来が開設された。1983年(昭和58年)4月、和漢診療部と名称変更し、1985年(昭和60年)5月、文部省から附属病院中央診療施設として正式に認可された。1993年(平成5年)4月、医学部に和漢診療学講座が開講した。2004年(平成16年)1月、附属病院和漢診療部は和漢診療科と名称変更した。2005年(平成17年)10月、新しい富山大学となり、2006年(平成18年)4月、大学院の再編により、大学院医学薬学研究部和漢診療学講座となり、さらに2019年(令和1年)10月、教々分離による再編のため学術研究部医学系和漢診療学講座となった。初代教授は1990年(平成2年)1月に就任された寺澤捷年先生、2代目は2003年(平成15年)12月に就任された嶋田豊先生、2023年(令和5年)4月から貝沼茂三郎が務めている。学部教育では、2年次に「和漢医薬学入門」を担当しているが、これは医学部(医学科、看護学科)と薬学部(薬学科、創薬科学科)の学生すべてが受講する本学の特徴ある授業の一つである。その他、医学科で「研究室配属」「和漢診療学」、「医学薬学史」、「臨床実習」、「選択制臨床実習」を担当している。特に2021年度からは臨床実習において漢方医学的な診察方法を体験することができる参加型臨床実習に力を入れ、またその習熟度の評価目的にmini-CEXを行っている。大学院教育では、大学院総合医薬学研究科総合医薬学専攻修士課程先端医科学プログラムで「東洋医学序論」をコーディネートしている。同専攻の「東洋医学特論」の講義も担当している。大学院総合医薬学研究科総合医薬学専攻一貫制博士課程生命・臨床医学プログラムでは「和漢診療学特論」を担当している。学位取得者は講座開設から2023年度までの間、博士(医学)75名、修士(医学)4名である。最近10年間(2014年度~2023年度)に限ると、博士(医学)7名、(課程博士7名、論文博士0名)、修士(医学)1名で、うち修士は外国人留学生である。漢方薬の微小循環改善作用、細胞・臓器保護作用、生体防御・免疫調整作用等に関する研究を主に行ってきたが、最近では認知症に対する漢方薬の研究や漢方医学的な所見の客観化に関しての研究にも力をいれている。最近10年間(2014年~2023年)の論文数は、原著(英文)41報、原書(和文)6報、症例報告(英文)100報、報症例報告(和文)19報、総説(英文)3報、総説(和文)10報であった。附属病院和漢診療科で東洋医学(漢方医学)と西洋医学の融合診療を行っている。また2021年より附属病院総合がんセンター内のがん和漢薬治療センターにおいて、化学療法や放射線治療を行っているがん患者の副作用を軽減し、積極的な治療を完遂することができるように漢方治療を行っている。1988年(昭和63年)4月、世界保健機構(WHO)伝統医学協力センターに指定された。4年毎に審査のうえ再指定され、現在も継続している。(貝沼茂三郎)92 和漢診療学講座
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