学部・大学院教育現任教育(社会貢献)主な研究実績学術集会の主催本講座は、平成17年の富山大学統合後、平成20年に看護学科講座再編成により、地域看護学講座となった。現在の担当教員は、教授:田村須賀子、講師:鈴木悟子、助教:城諒子・石井遥の4名である。地域看護学領域のうち、特に行政機関・企業に所属する保健師等の看護専門職の教育・研究に従事している。地域看護学は、人々の生活の質の向上とそれを支える健康で安全な地域社会の構築に寄与することを探求する学問である。多様な場で生活する、様々な健康レベルにある人々を対象とし、その生活を継続的・包括的にとらえ人々やコミュニティと協働しながら効果的な看護を探求する実践科学である(日本地域看護学会,2019)。本学の学部学科目(講義・演習・実習)では、行政機関・企業に所属する保健師の基礎教育と、住み慣れた生活の場から対象者を捉えられる看護職の養成を目指す。併せて保健医療福祉制度・施策を駆使する看護政策も教授する。大学院教育では、地域で質の高い看護実践に寄与する研究に、着想・計画から実施できる教育・研究者を輩出する。平成28年以降の修了生は、博士前期課程5人、博士後期課程1人である。県内の保健師等看護職への現任教育は、本学地域連携推進機構の地域包括支援システム推進事業を担当する形で継続実施してきた。退院支援・在宅療養支援のための継続看護シンポジウムは、本学附属病院看護部との共催で、平成27年から毎年12月、県内公開実施してきた。主なテーマは「生活と医療を統合する『継続看護マネジメント』」「特定行為研修の教育場面で起こりうること・対応・配慮」である。この企画は富山県公的病院看護部長・総看護師長協議会用研修会、県内4医療圏ごとの公的病院にも拡大実施した。また「富山県における地域医療構想」「今さら聞けない統計のきほん」等の人材育成セミナーも毎年9月実施した。ほか富山県・富山市・射水市の保健福祉行政・地域包括ケア関連の協議会・各事業計画策定・運営委員の委嘱も受け、協議に参画している。地域看護学の特性から、本講座において取り組む研究領域は広範囲に及ぶ。本稿では平成28年以降の科学研究費取得テーマに限ってその実績を示す。厚生労働科学研究費補助金「統括保健師に求められる専門的・行政的管理能力並びにその育成及び能力の発揮に向けた体制づくりの方法」には、分担研究者・研究協力者として、昨年度より講座構成員・大学院生全員で取り組んでいる。日本学術振興会科学研究費補助金では現在、「生活困窮者次世代家族の食育・生活習慣セルフケア能力獲得支援の保健師活動指針の開発(21K11019)」「30歳代男性の生活習慣予防のための主体的な健康学習を促す学習教材の開発(21K1743523)」「保健師と自治会役員等の協働により疾病予防と健康保持増進を目指す包摂型地域づくり(24K1413824)」で、各々研究代表者である。またこの間「市町村行政の保健から福祉部門に配置された保健師が継承する家庭訪問援助の普遍的特質(15K11847)」「『スマートカート』を活用したフレイル予防のための地域活動モデルの構築(20K12728)」「母子健康手帳交付時妊婦個別指導から解明する卓越した看護アセスメントの構造の可視化(20K19204)」の研究代表者であった。さらに分担研究者として、「包括的家族介護者支援」「精神障害を持つ母親の育児破綻予防」「認知症者支援」「地域看護実践展開モデル」「メタ認知公衆衛生看護思考」「ケアリング・コミュニティ協働」「災害時の公衆衛生看護」「近未来の介護ロボット社会実装」「情報通信技術を活用した保健指導プログラム」等の共同研究に関わっている。一般社団法人日本地域看護学会第25回学術集会を富山国際会議場にて主催した。(田村須賀子)104 地域看護学講座
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