医学部50周年
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第2節糖尿病代謝・内分泌内科呼吸器内科リウマチ・膠原病内科富山大学附属病院第一内科は診療部門として糖尿病代謝・内分泌内科、呼吸器内科、リウマチ・膠原病内科を標榜し、専門的診療を行っている。病棟診療では平成20年4月に混合チーム制が専門チーム制へと移行し、各診療科専門医が各々の担当領域に責任を持つ体制が構築された。糖尿病代謝・内分泌内科では、糖尿病・高脂血症をはじめとした代謝疾患、下垂体・甲状腺・副腎疾患を含む内分泌疾患に対する診療を行っている。糖尿病に対しては日本糖尿病学会の目標である「1000万通りの個別化医療」を掲げ、医師、薬剤師、管理栄養士、検査技師による糖尿病教室・糖尿病教育入院、CGM(ContinuousGlucoseMonitoring、持続血糖モニタリング)外来、合併症外来、肥満症診療を専門とするベストウエイト外来、持続皮下インスリン注入療法を用いたインスリンポンプ外来、1型糖尿病外来、妊娠と糖尿病外来などを開設している。さらに令和元年4月には糖尿病センターが発足した。本センターでは1)精密血糖評価介入外来(CGM外来)、2)先進1型糖尿病外来、3)高度肥満症治療外来、4)特定保健指導・重症化予防指導外来を開設し、メタボリック症候群、糖尿病およびその合併症対する包括的診療の実現を目指している。呼吸器内科では悪性腫瘍、間質性肺炎、感染症、気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患など多様な疾患を診療対象としている。特に肺癌は生命予後への影響から重要な位置を占める。当科では平成21年に超音波内視鏡および胸部CT画像から気管支の立体構造を作成するバーチャルブロンコスコピーを導入し、さらにその後組織凍結を利用したクライオバイオプシーを導入した。肺癌症例の予後はドライバー遺伝子変異の特定と標的治療薬、免疫チェックポイント阻害剤療法によって大きく改善され、内科的治療により5年生存を目指すことが可能な時代となった。また令和6年1月には呼吸器内科、呼吸器外科、感染症内科、放射線治療科、形成再建外科から構成される呼吸器・胸郭センターが発足した。本センターは当院の呼吸器疾患の受け入れ態勢を拡充すること、胸郭形成診療における拠点となること、及び本学における胸部疾患に関する臨床・基礎研究における診療科間の連携と全国に向けた情報発信を目指している。リウマチ・膠原病内科では、関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなど狭義の膠原病、血管炎症候群、脊椎関節炎、自己炎症性疾患、IgG4関連疾患など多種多様な全身性疾患を診療対象としている。また不明熱など、適切な受診先の選択が困難な症候に対する診療も担う。近年のリウマチ・膠原病領域では免疫抑制薬、生物学的製剤やJAK阻害薬などの治療薬が使用可能となり、疾患活動性の制御や、ステロイド中心の治療からの脱却が現実となりつつある。医局員は新たな治療法とその副作用対策に習熟し、患者の症状ならびに生活の質の改善に貢献してきた。膠原病領域では出産可能な年齢の女性(WoCBA:WomenofChild-BearingAge)を診療する機会が多い。このため当科では産婦人科を含めた多診療科によるWoCBAカンファレンスを開催し、疾患をもつ女性の妊娠・出産支援に努めてきた。関節エコーはリウマチ性疾患の早期診断や治療法の選択に有用であり、当該領域では必須のツールとなった。当科においては日本リウマチ学会登録ソノグラファーを擁し、継続的に関節エコーを用いて診療を行っている。富山大学附属病院第一内科においては糖尿病代謝・内分泌内科、呼吸器内科、リウマチ・膠原病内科それぞれにおいてエビデンスに基づいた最新治療を実践し、これら領域における診療のさらなる改善、進歩に努めている。(藤坂志帆、猪又峰彦、山口智史、加藤将)110〈診療科〉 第一内科 附属病院

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