医学部50周年
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今後の関連病院に関して診療体制の変遷 診療体制昭和52年開講された内科学第二講座は杉本恒明初代教授の診療科長のもと昭和52年10月より大学附属病院での循環器、腎・高血圧、神経内科の診療を開始した。その後、診療科長は昭和58年に篠山重威第二代教授、平成4年に井上博第三代教授へ引き継がれた。平成27年より絹川弘一郎第四代教授が診療科長を引き継ぎ現在に至っている。附属病院第二内科診療部門として循環器内科、腎高血圧内科を担当し病棟としてはCCUと南5階病棟で主に入院診療を行っている。絹川教授着任後、平成29年に循環器センターを開設し重症心不全に対する機械的補助循環(IABP、ECMOおよびIMPELLA)管理を積極的に行い、平成29年からは補助人工心臓治療を導入した。令和5年には移植適応外でも恒久的に在宅診療を継続するdestinationtherapy(DT)も対応施設となり、DTによる補助人工心臓治療も開始した。重症心不全に対する補助人工心臓治療に並行し、構造的心疾患(SHD)に対するカテーテル治療も次々と導入した。平成27年に経カテーテル大動脈弁留置術、平成28年に経カテーテル心房中隔欠損症閉鎖術および動脈管開存症閉鎖術、平成30年に経カテーテル僧帽弁形成術、平成2年に経カテーテル卵円孔閉鎖術および経カテーテル左心耳閉鎖術とSHDカテーテル治療を導入し、全国でも有数の治療の実績をあげている。冠動脈形成術においては石灰化病変に対するロータブレーター、ダイアモンドバックに加えショックウェーブカテーテルに対する治療も導入している。慢性血栓塞栓性肺高血圧に対する肺動脈バルーン形成術も年々増加し、安全性も向上し安定した手技となっている。下肢動脈に対するカテーテル治療では血管外科、整形外科、皮膚科およびコメディカルで構成されたフットケアチームによる包括的重症下肢虚血に対する治療を行っている。不整脈治療に関しては、カテーテルアブレーション件数は年々増加し、近年は心外膜アプローチによるアブレーション治療も施行している。デバイス治療の植込み型除細動器植込みや心臓再同期療法も増加し、リードレスペースメーカーや皮下植込み型除細動器も対応している。循環器疾患に対する診療においては、補助循環を中心にした重症心不全治療、虚血およびSHDのカテーテル治療、カテーテルアブレーション・デバイスを含めた不整脈治療をそれぞれの専門チームで対応しているが、チーム間の連携を密にして集学的に対応している。循環器診療に関しては、補助人工心臓やカテーテルによる虚血性心疾患,弁膜症,不整脈の最新医療を提供し、北信越の各県から紹介を受けるようになり全国標準の治療体系が院内で完結できる施設となった。腎高血圧部門に関しては年間約50件の経皮的腎生検を施行し、糸球体腎炎やネフローゼ症候群に対する免疫抑制療法を実施している。近年では、ANCA関連腎炎や難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブやループス腎炎に対するべリムマブなど、新規免疫抑制薬の使用により良好な治療成績を得ている。心血管系疾患や術後の重症症例に対して難易度の高い血液浄化療法を実施する機会が増加している。持続的血液濾過透析件数は年々増加し、令和5年度には600件を超え、血漿交換療法や白血球除去療法の依頼も増加している。腹膜透析や腎移植を選択する患者が以前よりも増加し、腹膜透析患者数は病院開設以来最多となり、泌尿器科と共同による生体腎移植も年2~3件実施している。当科は循環器センターPHSを窓口として関連病院だけではなく各医療機関から循環器診療に関する相談や治療依頼に対して迅速に対応している。今後も地域の核となる病院としての使命を邁進していくとともに、今後は大学で最先端の診療能力を身につけた医師がそれぞれの地域の病院において貢献できるような大学病院と関連病院との協力体制を構築していきたいと考えている。(福田信之、絹川弘一郎)111第2章 医学部・附属病院 第二内科

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