第三内科は、附属病院開院の翌年1980年(昭和55年)に設置され、初代教授佐々木博先生のもと診療体制の礎が築かれた。佐々木先生の専門は消化器、特に肝臓であったが、血液疾患も担当し、消化管内視鏡については東京女子医科大学から田中三千雄先生が着任され、指導に当たった。1989年には第2代教授として同じく肝臓(特に肝不全・肝疾患の栄養)を専門とする渡辺明治先生が着任され、さらなる診療体制の充実が図られるとともに、1997年には光学医療診療部が設置され、初代部長に田中先生が就任された(田中先生は2006年DDW-Japan札幌において第72回日本消化器内視鏡学会を開催)。2004年には第3代教授として杉山敏郎先生が着任され、2006年に国立がんセンター中央病院で研鑽を積んだ細川歩先生(現:宮崎大学医学部附属病院臨床腫瘍科教授)を中心とした腫瘍内科チームを立ち上げ、また、骨髄移植施設認定を取得した。杉山先生はその後2015年に日本ヘリコバクター学会理事長に就任され、2011年には富山で第17回日本ヘリコバクター学会学術集会を開催された。その後、2018年に安田一朗が第4代教授として着任したが、その教授選考の前に血液内科の分離が決まっていたため、血液内科の教授選考も別に行われ、佐藤勉先生が初代教授として着任された。その後しばらくは第三内科診療部門で両科が併設のままであったが、2021年に血液内科が完全独立し、これを機に第三内科は消化器のみを担当とすることとなった。しかしその後、北陸で遅れていた炎症性腸疾患診療のテコ入れのために炎症性腸疾患内科を独立させる構想が立ち上がり、2023年初代教授として渡辺憲治先生が着任され、第三内科診療部門内に第三内科(消化器内科)と炎症性腸疾患内科が並び立つ体制となった。安田は教授就任時の公約として、全ての消化器内科領域において診療レベルを全国トップクラスに押し上げることを掲げており、この目的のために若手医師を全国の様々な領域のトップ施設へ送り出した(消化管の内視鏡診断治療は静岡県立静岡がんセンター、肝疾患は虎の門病院、炎症性腸疾患は兵庫医科大学、腫瘍内科は愛知県がんセンター、国立がんセンター東病院、京都大学腫瘍内科)。また、逆に安田が専門とする膵臓・胆道疾患の内視鏡診断・治療については全国から多くの若手医師が国内留学に訪れ(長崎大学、大阪医科薬科大学、三重大学、大分大学、阪和住吉病院、大阪市立総合医療センター)、海外からも多数の医師が研修に訪れている。2022年には安田が日本胆道学会理事長に就任し、学会事務局が富山大学第三内科内に置かれ、また、2023年には日本消化器内視鏡学会理事に就任し、第113回日本消化器内視鏡学会総会が2027年に富山市で開催される予定である。現在の診療体制は、膵臓・胆道チーム、腫瘍(薬物療法)チーム、肝臓チーム、消化管チームの4チームに分かれて専門性の高い診療を行っているが、特に得意とする分野を以下に挙げる。【膵臓・胆道】膵・胆道疾患の内視鏡診断・治療、特にEUS-FNAを応用した治療手技、経口胆道鏡/膵管鏡を用いた先進的な診療を行っている。【腫瘍】JCOG、WJOGといった本邦を代表する臨床試験グループの臨床試験や新薬の開発治験に参画し、質の高い薬物療法を行っている。【肝臓】肝がんに対する肝動脈化学塞栓療法、ラジオ波焼灼療法は県内トップの治療実績で、全身化学療法も国内外のグループと共同研究を行っている。【消化管】食道・十二指腸・大腸の早期癌や表在型咽頭腫瘍に対する内視鏡切除(ESD/EMR)に積極的に取り組み、県内外から多くの紹介を受けている。(安田一朗)112 第三内科
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