医学部50周年
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2016年から2024年現在までの眼科学講座の診療の歩みについて書かせていただきます。2007年に第3代教授である林 篤志が着任し、その後眼科は飛躍的に成長したことを40周年記念誌で書かせていただきました。2016年以降も同じく、眼科は成長を続けています。2017年から当科はアイセンター(眼科)に名称変更しています。手術内容や件数等のランキング誌でも、富山大学眼科は、北信越地域で1位2位に位置づけられていることが多く、多くの紹介患者を受け、各専門分野の医師が専門診療を行っています。当科には、眼科診療に必要なほぼすべての診断機器と治療機器を揃えていますが、これらは、病院で購入したものよりも、眼科学講座独自で購入した機器の方が多いぐらいです。眼科の中にも多くの専門分野があり、角膜・前眼部、水晶体、眼瞼・腫瘍、緑内障、ぶどう膜炎、網膜・硝子体、神経眼科、斜視弱視、小児眼科、眼形成があります。当科はすべての専門分野の医師を揃えており、県内唯一の大学病院眼科としての役割を果たしています。2021年に富山大学附属病院にこども医療センターが設立され、同時に小児眼科が一つの診療科になりました。小児眼科は、三原美晴講師が副診療科長になっています。当科の手術実績では、白内障、緑内障、網膜硝子体、外眼部、眼科吹き抜け骨折など2016年では合計3876件であり、毎年3800件程度の手術を実施してきました。コロナ禍であった2020年から2023年においても手術件数は減ることなく、継続でき、2023年は4194件の手術を行いました。コロナ禍で全国的には眼科は大きな影響を受けた科ですが、当科では、従前と同じあるいはそれ以上の診療を継続できました。これも多くの患者を紹介いただいた地域の先生方のおかげと感謝しています。当科の特徴は、若手医師にできるだけ早くから手術を経験させていることです。入局1年目から白内障手術、眼瞼手術を部分的に執刀を始めて、1年後にはある程度一人で手術ができるところまで育てています。当科の専攻医は、専門医受験に必要な要件を2年以内に満たしています。現在、当科の関連病院として、県内以外に岐阜県高山市、新潟県上越市の病院にも医師を派遣しています。県内で常勤医を派遣している病院は、高岡市民病院、済生会高岡病院、JCHOふしき病院、済生会富山病院、かみいち総合病院、黒部市民病院、あさひ総合病院があり、県外では、高山日赤病院、久美愛病院、糸魚川総合病院、上越総合病院、新潟県立中央病院があります。このうち、高岡市民病院の眼科は、2024年からアイセンターとして格上げし、常勤医4名体制となっています。非常勤医師は、これ以外に13の病院等に派遣しています。関連病院は、この8年で5病院も増えました。今後も富山県、岐阜県、新潟県に渡り、富山大学がカバーするべき範囲の病院には、眼科医師を派遣していく予定です。今後も、当科では、地方大学として必要な、眼科のすべての領域をカバーする専門医を育成し、研究マインドをもち、誠実に診療にあたる医師を地域に出していきたいと考えています。今後ともご指導をよろしくお願い申し上げます。(林 篤志)126 眼 科

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