附属病院における耳鼻咽喉科は、昭和54年10月附属病院開院と同時に、初代水越鉄理教授、2002年より2代目渡辺行雄教授、2012年より3代目將積日出夫教授と継承されてきた。2023年9月より4代目森田由香教授を迎え、藤坂実千郎診療教授、髙倉大匡診療教授、阿部秀晴診療講師(病棟医長)、舘野宏彦診療講師(医局長)、中里瑛診療講師(外来医長)のスタッフで診療にあたっている。耳鼻咽喉科は、脳、眼球、歯をのぞいた鎖骨上すべての構造物を対象としている。本体である日本耳鼻咽喉科学会が日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会と改称したこともあり、2024年10月から、耳鼻咽喉科から耳鼻咽喉科頭頸部外科と改称することになった。また、開学以来一貫して行ってきためまい平衡医学の実績から、先端めまいセンターを設置し、全国から難治性めまい疾患の患者さんが集まるようになった。2023年9月に森田教授が就任し、めまい以外の難聴、難治性耳疾患、真珠腫や耳硬化症を含めた中耳手術診療など幅広く耳科・側頭骨疾患の対応が可能となった。中耳手術件数も増加したため、2024年4月以降、日本耳科学会耳科手術指導医認定施設に認定され、あわせて先端めまいセンターを先端耳科・めまいセンターと改称した。これまで実施されていなかった手術もあり、病棟・手術室看護師とともに勉強会を行い、適切な周術期管理ができるように整備をすすめている。鼓室形成術・人工内耳手術の件数図増加はもちろんのこと、今後、難治性めまい疾患の手術も含め、中耳・側頭骨疾患の手術治療を中心に幅広い耳科診療を提供していく予定である。鼻科疾患については、当科で最も多い手術件数を維持しており、慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻副鼻腔手術の他、頭蓋底疾患へのアプローチも積極的に行っており、2022年日本鼻科学会認定鼻科手術指導医認定施設に認定されている。また、難治性副鼻腔炎である好酸球性副鼻腔炎に対しては手術のみならず、生物学的製剤の導入も積極的に行っている。そして当科の特徴でもある慢性涙嚢炎に対する鼻涙管開放術も年間20件前後を実施しており、高齢社会を反映して年々増加している。頭頸部腫瘍に関しては、2022年阿部診療講師が日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医を取得し、頭頸部がん指定研修施設の認定をうけた。国立がん研究センター東病院、宮城県立がんセンターの協力をいただき、高難度手術にも対応しており、近隣の病院含め、県内外から多くの頭頸部疾患患者を受け入れている。診療体制:働き方改革を見据えて、2020年2月より当直からオンコール制に移行した。また、連日外来を実施していたが、手術件数増加に対応するため、2024年4月より手術日(月・水)は通常の外来診療は行わず、急患もしくは検査のみに変更した。さらに、外来診療の円滑化、患者待ち時間短縮のため、完全予約制(急患は別)とした。変更に伴って、近隣の先生方や院内各診療科の先生方には、ご不便をおかけしたことは承知しており、この場をお借りしてお詫び申し上げたい。しかし、待ち時間は短縮され、スタッフの動きもスムーズとなり、診療体制としては手術日と外来日のメリハリをつけて維持していきたいと考えている。関連病院:現在、教室から常勤医師を派遣している病院は、富山赤十字病院、済生会富山病院、済生会高岡病院、かみいち総合病院、上越総合病院の5施設である。また非常勤医師を派遣している病院は、富山県リハビリテーション病院、あさひ総合病院、飛騨市民病院、厚生連滑川病院、高岡ふしき病院、上越総合病院、糸魚川総合病院、けいなん総合病院、久美愛厚生病院、富山協立病院、八尾総合病院、不二越病院、おおやま病院、藤木病院、新潟県立中央病院の15施設である。今後スタッフの増加とともに、高いレベルの診療を維持し、近隣各病院へご協力できるように努めたい。(森田由香)127第2章 医学部・附属病院 耳鼻咽喉科頭頸部外科
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